2024-02

2022・4・16(土)4オケの4大シンフォニー

      フェスティバルホール(大阪) 2時

 所謂「大阪4オケ」のシリーズ。今年で8回目とか。大阪のメジャーな4つのオーケストラが一堂に会し、順に熱演を披露するという奇抜なイヴェント。東京ではまず無理な企画だろう。
 今日出演した尾高忠明氏も、「こんなことをやるのは(世界でも)大阪だけですよ」と言って客席を笑わせていたが、何にせよ、1回の演奏会で4つのオーケストラを聴けるというのだからトクなことは間違いない。今日は完売の盛況。

 最初に藤岡幸夫指揮関西フィルハーモニー管弦楽団がシューマンの「第1交響曲《春》」を、次に外山雄三指揮大阪交響楽団がモーツァルトの「ジュピター交響曲」を演奏する。
 休憩後には尾高忠明指揮大阪フィルハーモニー交響楽団がチャイコフスキーの「第5交響曲」を、秋山和慶指揮日本センチュリー交響楽団がドヴォルジャークの「新世界交響曲」を演奏するというプログラムだ。

 曲の間には、4つのオーケストラの演奏会を聴ける招待券を計8組に贈呈する抽選が、司会進行役の三代澤康司と、演奏を終ったばかりの指揮者とで行なわれるというわけで、この趣向も毎回人気を集めている。この抽選の間にステージのセット替えが猛烈な勢いで行なわれるわけである。

 さて演奏の方だが、各オケが各々の面目にかけて競い合うだけあって、すこぶる聴き応えのある演奏になることは例年通りである。
 まず藤岡幸夫と関西フィルが、シューマンの「春」を、よく言えばやや豪快な音色で、言い方を変えれば、さながら不良青年の如き闊達な表情で演奏した。第1楽章など意外にイン・テンポの演奏だったが、もう少しテンポを流動的に設計すれば更に音楽が躍動的になったのではと思われる。だが、第2楽章の主題のフレーズの膨らませ方は魅力的だった。コンサートマスターはギオルギ・バブアゼ。

 入れ替わりに登場した大阪響の演奏では、来月には91歳になる外山雄三の元気な指揮に感銘を受ける。「ジュピター」の両端楽章の提示部を反復するという長丁場を椅子も使わず立ち続けて指揮、そのあとも休みなく抽選の作業を行い、司会者への毒舌とツッコミも相変わらずなのだから、大したものである。
 演奏の方は、悠然たるイン・テンポではあったが、終楽章ではひときわ力感を強めてクライマックスを構築したのは立派だ。大響の瑞々しくしっとりしたアンサンブルも印象的で、これはコンサートマスターの森下幸路のリーダーシップによるところも大きいだろう。

 休憩後に登場した尾高と大フィルは、4オケのうち唯一の⒗型編成(コンサートマスターは須山暢大)で、どうだと言わんばかりの豪壮な演奏を誇示した。さすがの威容で、大フィルは毎年こういう調子だ。使い慣れたフェスティバルホールの空間を楽々と満たした量感たっぷりの「5番」。
 尾高は、桐朋学園時代の恩師・齋藤秀雄からこの曲の指揮で褒められたという話を披露、客席の拍手を誘う。お客の笑いや拍手などの反応の早さは流石に大阪ならではのもので、羨ましい。

 大トリは秋山と日本センチュリー響だ。「チャイコの5番」と「新世界」とを休憩なしに続けて聴くなどという体験は初めてで、これはまさに体力勝負である。
 秋山の指揮は緻密で、実にバランスがよく、第2楽章のしっとりした郷愁感などは練達の秋山ならではの至芸であろう。
 だが、何しろその前に尾高と大フィルがあまりに豪壮なクライマックスをつくってしまったので、ちょっと損な役回りになったのでは、という気がしないでもない。ただしそう思ったのは私が気力体力共に些か消耗していたからかもしれず、他のお客さんは演奏に充分堪能したかもしれない。

 なお、電車少年の秋山はドヴォルジャークの鉄道好きの話を披露し、これも客席を喜ばせた。抽選の際は秋山の指揮でドラムロールとシンバルを入れて盛り上げたが━━どうでもいいけれど━━その使い方のタイミングは、あれは違うんじゃなかろうか。
 終演は5時45分頃。

コメント

大阪パワー!

東条先生もいらっしゃると思いながらの拝聴でした。お疲れ様です。毎年思うのですが、大阪人は元気やなぁ!4オケもお客様もパワフル!私は、とりわけ大阪フィルさんの豪快な演奏に感動しました。フェスティバルホールをホームとするだけあって、空間の使い方が巧かったと思います。関西フィルさんも、大阪響さんも、日本センチュリーさんも熱演でした。私も、東条先生と同じく、少々疲れましたが、こういう大阪のノリ、大好きです!

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