2024-02

2022・4・23(土)ピエタリ・インキネン指揮日本フィル

      ミューザ川崎シンフォニーホール  5時

 午後2時からの神奈川県民ホール「沼尻竜典の神奈川フィル音楽監督就任記念定期演奏会」とのダブル・ビルを予定していたのだが、このところの妙な体調不良のためそれには間に合わず、5時からの川崎での日本フィルのみ、辛うじて聴くことができた。横浜から回って来た知人の話では、「沼尻&神奈川フィル」の演奏は素晴らしかったとのこと。次の機会には是非聴きに行きたい。

 さて、こちらインキネンと日本フィルは、ベートーヴェン・ツィクルスの第3回にあたる演奏会。「第2交響曲」と「第4交響曲」が取り上げられ、更に冒頭にシベリウスの交響詩「エン・サガ」が演奏された。コンサートマスターは田野倉雅秋。

 インキネンのベートーヴェンは、これで6曲を聴けたわけだが、各々の曲想に応じ、スタイルをかなり大きく変えるアプローチのようである。仮にブラインドで聴いた場合、この人の指揮だな、とすぐ判るような一種の癖というものは全く━━というか、ほとんどない。それはそれで、一つのやり方であろう。
 ただ、今日の2曲を聴いてある程度明確に感じられた共通の特徴は、やはり明朗闊達で率直で、ひたすら押しに押す若々しい推進性と、たっぷりした和声的な量感とにあふれ、そして人間的なあたたかさを備えたベートーヴェン━━ということだろうか。

 「第2番」は、見事なほどの威容を感じさせ、特に第4楽章での頂点への追い込みは、荒々しさや魔性的な凄さというものではないけれども、聴き手をぐいぐいと煽り立てる力を持っていた。それはベートーヴェンの若き日の、純な気魄を充分に再現した演奏と言えるだろう。この曲の良さを存分に表出した演奏で、もう一度聴いてみたいと思わせる「2番」であった。またもや何処からかブラヴォーの声が飛んだのも無理からぬことだろう。

 この「2番」が非常な快演だったため、休憩後の「4番」が、ちょっと気が抜けてしまったような気がしたのは、もちろん私個人の集中力が欠けた所為もあるだろうが、しかしこの前半の2つの楽章では、演奏も多少「通常の出来」に留まっていたのではなかったろうか? 特に第1楽章の、再現部へ向かってのクレッシェンド個所と、終結部での「興奮度」など、「2番」で聴かせたような勢いがもっと欲しかった。

 第4楽章は、作曲者のメトロノーム指定テンポに多少近い快速で演奏されたため、木管の一部がそれに対応し切れなかった個所もあったものの、まあ「締め」としては結構だったでしょう。現の響きは、前回同様に、美しい。

 冒頭の「エン・サガ(ある伝説)」は、私の好きでたまらない曲だが(全曲終結の余韻嫋々として茫漠たる寂寥感!)、今日の演奏は、この曲に不可欠な神秘性が不足しているように感じられて、少々腑に落ちないものがあった。
 もともとインキネンのシベリウスは、森と湖と霧の奥から響いて来るようなタイプではなく、もっと近代音楽としての鋭い性格を強く打ち出したスタイルであることは承知しており、それは交響曲での彼の指揮においては納得できているのだが━━。

コメント

ブラビー

又も音楽を聴く素晴らしさを堪能した演奏会でした。2番はご指摘の様に快演でしたが、小生は4番にも心奪われました。全体を通しての弦の美しさは息を飲む程。優しさと潤いが有り、弱音のきれいな事、内声も深い意味を持つて響き、木管も美しく、指揮者とオケが見事に一体化していました。以前のインキネンは極めてインテンポだっり、弦のがさつきが有ったりしたものですが、此処迄素晴らしくなったとは驚嘆です。残りのコンサートを楽しみにするのは勿論、任期後の出来る限りの来演をを祈ります。

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