2024-03

2022・4・26(火)METライブビューイング
R・シュトラウス:「ナクソス島のアリアドネ」

     東劇  6時30分

 3月12日メトロポリタン・オペラ上演生中継ライヴの映像。

 映像の冒頭では、ピーター・ゲルブ支配人が、いつものにこやかな顔でなく、厳しい表情で挨拶。ウクライナの人びとへの激励のメッセージを送り、ウクライナの犠牲者を悼み、さらに「戦争に巻き込まれたロシアの人びと」への同情の念をも述べた。そして「プーチンがウクライナに侵攻した」直後のMET公演の際に、METの合唱団とオーケストラがウクライナ国歌を演奏し、観客が起立してそれに聴き入る光景の映像をも織り込んでいた。

 さて、このR・シュトラウスの「ナクソス島のアリアドネ」は、エライジャ・モシンスキー演出による再演プロダクション。ほぼ30年前に制作された舞台だから、やはり古さを感じさせることは否めない。
 だが、悲劇と喜劇が同時に上演される設定の「オペラ」の場面で、双方の主役たるアリアドネ(リーゼ・ダーヴィドセン)とツェルビネッタ(ブレンダ・レイ)が微妙な突っ張り合いを見せるあたりの演技がすこぶる巧く表現されているあたりは、2人の歌手たち自身の工夫もあるのだろうが、結構楽しませる。この2人の歌唱と演技には、私も今回初めて接したが、なかなか華やかだ。

 指揮はマレク・ヤノフスキ。METのピットでの雰囲気は少々地味な印象を与えるものの、オーケストラをよく引っ張って、全曲大詰めの叙情的なシュトラウス節を聴かせていた。
 主役歌手陣では他に、作曲家役のイザベル・レナードが完璧な歌唱と演技を示し、音楽教師役のヨハネス・マルティン・クレンツレも流石の巧味を披露している。

 執事長役には、当初トーマス・アレンが発表されていたが、この日は懐かしやヴォルフガング・ブレンデルが登場、コミカルで滋味豊かな舞台を披露した。確か75歳になるはずで、今はもっぱら先生家業とのことだ。公式SEASON BOOKのArtist Rosterにも名前が載っていなかったところからすると、急遽助っ人を買って出たか、頼まれたか━━だったののかもしれない。
 なお、バッカス役のブランドン・ジョヴァノヴィッチ(アメリカ出身)という人は初めて聴いたが、いい声だ。

 このオペラは、私も何度もレコードで聴いたし、ナマ上演にも接してきたが、今日のように映画館の大音量のPAを通して聴くと━━決して過剰な大音量というわけではなかったのだが━━第2部の前半で、R・シュトラウスはよくもまあこのように長時間、高音域のソプラノ(つまりアリアドネとツェルビネッタだ)の声ばかりを連続して使ったものだなと、改めて思わされる。この音に些か疲れたのは事実。ダーヴィドセンの声がひときわビンビンと強く来るから、尚更だ。バッカスが登場する場面に至って、やっとオーケストラが柔らかい甘美な音を響かせ始め、ゆったりとしたテナーの声も聞こえ始めて、やれやれと思う。こんなことは初めてだ。
 9時20分終演。

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