2024-02

2022・5・14(土)宮崎国際音楽祭 大野和士指揮の「ヴェルレク」

   メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 
   アイザック・スターン・ホール  3時

 伊丹から宮崎へ飛び、4年ぶりに宮崎国際音楽祭を訪れる。今年が第27回。徳永二男を音楽監督として4月29日から開催されており、明日が最終日だ。今日は大野和士が指揮するヴェルディの「レクイエム」で、「喪失と悲哀を越えて」という演奏会タイトルが付けられている。

 オーケストラは例年通り国内屈指の奏者たちを集めて編成されており、ソリストをはじめ各楽団の首席奏者たちが名を連ねているさまは壮観である。特に第1ヴァイオリン・セクションには、国内オケのコンサートマスターが10人以上も参加しているという驚異的な陣容で、しかも今日は懐かしや、ライナー・キュッヒルがコンマスの椅子に座っているという華やかな光景だ。
 合唱には新国立劇場合唱団が来ている。そしてソリストも中村恵理(S),池田香織(Ms)、宮里直樹(T),妻屋秀和(Bs)という強力な面々が揃う。

 白熱の快演ともいうべき今日のヴェルディの「レクイエム」の中で、やはり特筆すべきは大野和士の見事な指揮であろう。
 1時間半に及ぶ長い全曲を一分の隙も無く緊迫感を持続させつつ完璧に構築し、歌手の声を全く打ち消すことなくオーケストラを巧みに響かせる。何よりも、この曲が備えている「宗教曲」というよりも「オペラ的」といっていいほどの強いヒューマンな喜びと哀しみの情感を、あくまでも明快に浮き彫りにした演奏に、私は心を打たれた。

 こういうオペラ的な曲を指揮する時の大野和士は、やはりただものではない。わが国の指揮者で、これだけの「ヴェルレク」を演奏できる人は、他には見当たらないだろう。それはまさに「喪失と悲哀を越えて」というコンセプトに━━ただ言葉上の建前のみにとどまらず、感情の面からいっても、相応しい演奏だったのである。

 新国立劇場合唱団(合唱指揮者・三澤洋史)はステージ後方および左右のバルコニー席に拡がって配置されていたが、予想以上にバランスよく、緻密な合唱を聴かせてくれた。
 また、ステージ前面に各々距離を取って位置した4人のソロ陣も充実の歌唱を披露。特に最後の「リベラ・メ」での中村恵理の劇的な感情表現は素晴らしく、その中に挿入された「怒りの日」へ転換して行く個所での激しい感情の変化の個所など、欧州の歌劇場でキャリアを積んだ歌手ならではの巧味を感じさせていた。

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