2024-03

2022・5・15(日)宮崎国際音楽祭 広上淳一指揮の「ローマの祭&松」

メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)
アイザック・スターン・ホール  3時

 音楽祭最終日。「祝賀の舞~ここに集い、明日を音祝ぐ」という、「言祝ぐ」をもじった題名が付けられていて、今日は広上淳一が指揮。
 この腕利きのオーケストラを、大野和士と広上淳一というわが国のトップ指揮者が連続して指揮するのだから、この音楽祭も豪華なものである。

 プログラムは前半に尾高惇忠の「音の旅」という曲集からの10曲と、サン=サーンスの「交響曲第3番」(オルガンのソロは加藤麻衣子)、後半にはレスピーギの「ローマの祭」と「ローマの松」。
 実はそのあとにもアンコールとしてマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲が予定されていると事前に聞いていたのだが、空港行きのタクシー予約時間との兼ね合いのため、聴かずに失礼しなくてはならなかったのは残念の極み。

 前半の2曲は1階席28列で聴いていたが、ここは2階席の屋根の下に入った位置の所為か、ヴァイオリン群が硬く鋭く聞こえ、低音楽器もほとんど聞こえずといった具合で、オーケストラ全体をハイ上がりの安物のオーディオ装置を聞いているような印象。スーパーオケなのにこんなはずはあるまいと思い、職業上の理由から、レスピーギの2曲は、中2階のバルコニー席の下手側後方の位置に移って聴いてみた。

 予想通り、そこで聴くと、前半の2曲の時とはまるで別のオーケストラのように聞こえる。弦は柔らかく拡がって豊麗な音色となり、低音部の響きも増して重量感もたっぷりとしたものになり、音楽そのものが豊かな瑞々しさを湛えて、腕利き奏者たちを揃えたオーケストラの本領が存分に発揮されていたのである。

 レスピーギの色彩的な管弦楽法の魅力も、これなら充分に堪能できる。「ローマの祭」では、凶暴な祭、明るい祭、底抜けの陽気な祭などの色合いの違いも、見事に浮き彫りになった。「ローマの松」でも、「アッピア街道の松」がこれだけ重量感豊かな、豪壮華麗な底力を備えた音楽に感じられたことは、これまでになかった。

 オーケストラの各パートのソロも見事で、「祭」でのホルンのソロも胸のすくような鮮やかさだったし、コンサートマスターのライナー・キュッヒルが実に色っぽいソロを披露したのも印象的であった。
 近年のキュッヒル氏は、ベートーヴェンの四重奏曲などを弾くと、やたら荒っぽく弾き飛ばす癖があって、やはりもうトシなのかなと思わされていたものだったが、このように自由さが認められている曲を弾くと、余人にはとても真似できぬような滋味と巧さを発揮する。流石の年輪である。

 それにしても、この宮崎国際音楽祭管弦楽団の力量はたいしたものだ。最盛期のサイトウ・キネン・オーケストラにも退けは取らないだろう。そして、あれよりも柔らかく、あたたかい雰囲気を備えている。こうした名手オケを制御するマエストロ広上淳一の気魄も壮烈であった。

 20時10分発のANAで帰京。楽員さんたちも大勢乗っていて、満席に近い状態と最初は見えたが、何故か最後部の数列はガラガラで、独りで席を3つ占領できるという快適さ。21時40分羽田空港着。

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