2024-03

2022・5・21(土)ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団

      サントリーホール  6時

 ドイツ(R・シュトラウス)、ソ連(ショスタコーヴィチ)、英国(ウォルトン)。奇しくもこの3つの国の組み合わせは、あの「戦争レクイエム」━━戦争の悲惨さと、平和への願いとを描いた英国の作曲家ブリテンの作品に登場する3つの国と同じ。

 それはともかく、英国出身のジョナサン・ノットが指揮するウォルトンのオラトリオ「ベルシャザールの饗宴」は、流石に見事なものだった。
 この曲は、これまでにも尾高忠明の指揮で2度ほど聴いたことはあるが、今日のノットの指揮は、流石に同国人の作曲家に寄せる共感と愛情が強く籠められた演奏というべきか、一種の凄絶で魔性的な熱狂のようなものを感じさせた。
 ウォルトンのスペクタクルな面が浮き彫りにされた演奏だったともいえるが、これは東京交響楽団の反応の良さゆえでもあろう。ノットと東京響のこれまでの演奏の中でも、屈指の出来と言って間違いない。コンサートマスターは水谷晃。

 正面P席と左右のRA、LA席に間隔を取って並んだ100人近い編成の東響コーラス(合唱指揮・冨平恭平)も強力で、しかも全曲(40分ほど)を暗譜で歌いこなしたのは立派である。
 バンダはRAとLA席最上方に配置されており、これは私の席(2階C席最前列)からはあまり明瞭に聴き取れない時もあったものの、オーケストラ全体の量感を増大させるといった点では、申し分なかった。

 前半のプログラム、R・シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」は、活気に溢れる。最初のうちはアンサンブルもやや粗かったが、次第に密度も高められ、オーボエのソロとホルン群も映えていた。
 ショスタコーヴィチの「ピアノ協奏曲第1番」には、ソリストにペーター・ヤブロンスキーが登場。海外の著名演奏家がごく日常のように国内オーケストラの演奏会に登場するという状態がやっと戻って来たのだな、という新鮮な悦びを感じさせた瞬間でもあった。

 その終楽章では、これ見よがしにバリバリと叩きつけるような下品なことをしないヤブロンスキーのソロと、弦の向こう側に位置したトランペットの澤田真人(東京響首席)のむしろ柔らかい音色のソロが軽快に応酬し、リズミカルなユーモアのうちに進んだ。ヤブロンスキーのソロ・アンコールはバツェヴィチの「ソナタ第2番」第3楽章。

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