2024-03

2022・5・28(土)秋山和慶指揮中部フィルハーモニー交響楽団

      三井住友海上しらかわホール  3時

 最近高評価を得ている中部フィルの演奏を名古屋へ聴きに行く。このオーケストラは、これまで一度だけだが聴いたことがある(☞2015年6月27日)。指揮者陣はあの頃とは多少異なっていて、現在は秋山和慶が芸術監督、飯森範親が首席客演指揮者という布陣。

 今日はその秋山和慶の指揮で、ベートーヴェン・ツィクルスの第4回。序曲「命名祝日」に始まり、交響曲第4番、同第8番━━というプログラムである。客演コンサートマスターは山口裕之。

 冒頭からして、その演奏の持つ重量感には驚かされた。ティンパニの豪音は床を震わすほどだが、それが所謂「音が回る」ような、「唸り」のようなものにならず、すこぶる引き締まって聞こえるため、オーケストラ全体にどっしりした響きが感じられるのだろう。アンサンブルにも厚みがあり、風格を感じさせる。
 レパートリーの違いも影響しているのかもしれないが、前回聴いた印象とはかなり異なり、演奏に強い共感と活気が漲っているのには嬉しくなった。

 秋山和慶の指揮からして、最近は激しい感情の動きが加わり、円熟の滋味も目覚ましく濃くなっていて、音楽にも温かみが増している、という傾向が見られるだろう。特に今日のベートーヴェンの交響曲の演奏では━━ある種のイメージとしての意味だが━━アナログ的な温かさのようなものが感じられ、それがまた不思議な快さを聴き手に与えているのだった。

 このオーケストラをここまで瑞々しい響きにまとめ、しかもホールを巧く鳴らして音楽の量感を増す彼の手腕には、舌を巻かずにはいられない。中部フィルも、部分的ないくつかの綻びを別として、その指揮によく応えていた。
 なお今日の「4番」の演奏で、普通はカットされる第1楽章第183小節のチェロとコントラバスの「F」をそのまま弾かせていたのが、マエストロ秋山のスコアに対する考え方を象徴するものとして、すこぶる興味深いものがあった。

 しらかわホールは、客席数700だが、お客は結構入っていて、拍手も熱心で、雰囲気がいい。それでも「やっぱりコロナで少し客が減ったかな」と、後ろの席の人が話しているのが微かに聞こえたのだが‥‥。地下鉄の伏見駅からゆっくり歩いても10分前後というのも便利だ。

コメント

しらかわホール

三井住友海上しらかわホールは、2024年2月末で、閉館するそうですね。残念です。響きのいい素晴らしいホールです。コロナ禍による打撃は、アーティストだけではなかった。本当に残念です。

183小節のCb.のF音

ワインガルトナーは「ある指揮者の提言」で、このF音を「明らかに間違い」と書いていますよね。いかにも謹厳実直な彼らしい解釈だと思いますが、私(Cb奏者です)はこのF音は決して間違いではないと信じています。クナだったらきっと喜んでffでこのFを弾かせることでしょう。

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