2024-02

2022・6・9(木)シャルル・デュトワ指揮新日本フィル

      東京芸術劇場 コンサートホール  7時

 85歳ながら、その挙止にも音楽にも微塵も年齢を感じさせぬシャルル・デュトワが、今回は新日本フィルに客演、十八番のフランス・レパートリーを指揮した。
 プログラムは、フォーレの「ペレアスとメリザンド」組曲、ラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」(ソリストは北村朋幹)、ドビュッシーの交響詩「海」、最後にラヴェルの「ラ・ヴァルス」。コンサートマスターは崔文洙。

 今回もまた、デュトワの指揮の「持って行き方の巧さ」には舌を巻くことになった。たとえば「海」の「波の戯れ」や「風と海との対話」での、あるいは「ラ・ヴァルス」での、それぞれ曲の頂点に向かって演奏を胎動感豊かに盛り上げて行く呼吸など、名人のわざとしか言いようがない。
 そして「ペレアス」の「前奏曲」や「メリザンドの死」、あるいは「協奏曲」第2楽章などでの、最弱音の━━最後の音が消えて行くところの美しさは、見事なものであった。このあたりは、新日本フィルもデュトワの指揮によく応えていたと思う。

 ただ、その新日本フィルだが、そういう個所は良かったのだけれど、オーケストラの音色やアンサンブル全体ということになると、おしなべて粗いのが気になる。あの優しく美しい「ペレアス」の音楽が、あんなに硬質でガサガサした音でいいわけはない。協奏曲のフォルティッシモに至っては、如何に何でも荒っぽすぎる。
 かつては国内屈指の美しい響きを持っていたこともあるこの新日本フィルが、いつの間にこんな荒っぽい音のオケになってしまったのかと、慨嘆、落胆。

 だが、第2部の2曲で、それが薄紙を剥がすように改善されて行ったのは幸いだった。特に最後の「ラ・ヴァルス」では、これぞデュトワの音、といったものが現れて来た。そしてオーケストラも、アンサンブルを整備して、熱狂的な「ラ・ヴァルス」をつくり上げて行き、聴衆を沸かせたのである。
 この分なら、14日のトリフォニーホールでのチャイコフスキーなどは期待が持てるだろう。聴きに行けないのが残念だ。

コメント

昨年聞き逃したデュトワのフランスものなので、新日本フィルとしては珍しい東京芸術劇場まで出向きました。
確かに後半2曲は素晴らしいと思って聞きました。ただしコロナが概ね静まったので昼に久し振りに別オケを聞いていました。
そちらは各パートに「やるぞ!」という意気込みが感じられ、自主性、パワーの差を感じました。秋から新日本フィルのチケットを数枚買っている者としては奮起を期待したいです。

 東西でのデュトワ先生の演奏会、なかなかの盛況、内容だったようですね。私も1つは行きたかったのですが、(次のコンサートも含めて)行くことができず残念です。
 さて、大フィルさんとも、新日さんとも、デュトワ先生とも関係ないことを書いてしまい、恐縮なのですが、件の大阪のツーショットおじさんについて、数週間前の大阪での、ある演奏会の後に(フェスティバルHではない所で)、出待ちをしていた彼に付き合ってしまった演奏家の方が、数日後に、コロナ発症する、ということが現実におきてしまったようです。
 勿論、感染そのものが、おじさんそのものに由来している、という確証はないし、確かめようもない訳ですが、可能性はゼロではありませんし、結局は演奏家本人の自覚の問題に終始し、自己責任である訳ですが、この人物の行動は、多くの公共ホールの禁止事項を平然と無視して破るものであり(当該の演奏会があったホールも禁止している)、演奏家の感染防止への心の油断を生じさせる原因の1つにもなっている訳で、責任は大きいと言わざるを得ないでしょう。今後、そうした点から、この人物が続けている行動については、東西の関係各位のより適切な検討、対応が急務であると思われます。

驚愕!

14日夜のすみだトリフォニーでの公演を拝聴。後半のチャイコフスキーは、ロシアの濃厚かつメランコリックな歌を聴かせるというのではなく、スマートでスタイリッシュな演奏でしたが、早めのテンポで颯爽と進め、オケから豪快な響きを引き出す一方、ワルツでは、香り立つような繊細な一面も聴かせるというあたり、実に見事な手腕で、それに応える新日フィルの熱演も素晴らしかったです。

しかし、この若さはなんなんだ。85歳という高齢をまったく感じさせることがなく、ステージへ登場するときの矍鑠とした歩みもそうですが、とにかく両腕の可動域、瞬発性、動作の速度にまったく衰えが見られないのに驚愕(だって85歳ですよ。あり得ないでしょ)。あまりの見事さに、夏のセイジオザワ松本フェスティバルで彼がサイトウキネンオーケストラを振るのを聴きに行くことを急遽検討中です。

新日フィルはアルミンクと蜜月関係の時は
本当にいい音を出していた気がします。
震災で関係がこじれたあと、
聞きに行ったら、あまりの音の変わりように
愕然したのを覚えてます。
その後、育ててくれるシェフに恵まれないまま、10年以上たってしまい、今後どうなるか心配であります。

デュトワマジックで響きが変身した新日フィル。無理に時間をつくり、2回とも聞いてしまいました。指揮者でこうも変わるのかと知らされた好例。フランスものはモントリオールやN響のデュトワサウンドが薫り、ロシアものでもサウンドの質へのこだわりに加えて、チャイコフスキー5番の終楽章では、デュトワ氏らしからぬ爆発的熱気に圧倒されました。フランスものは金管の精密さ(ミスではない)がもっとあってもよかったとは思い、粗さという印象も残りましたが。札幌から来たフルートの野津氏、兵庫から来たオーボエ神農氏はもう看板ですね。クラのペレス氏も奮闘。元N響日高氏もベテランの味。このオケは目立つミスが少ない(この点は日フィルやシティ、神奈川より良い)が、常任や音楽監督が代わるにつれ、集中力や積極性に欠ける傾向がだんだん強まり、パンデミック後はもう一つ面白くない演奏が多い。日フィルやシティの積極性を買うファンも多く、鬼才上岡氏なきあとは人気は落ちてきている感じだ。主要奏者の退団が相次ぐなど、低調だが、またデュトワ氏を呼べるなら、佐渡氏と両輪で立て直し、さらにむやみに外国人に頼らず、秋山氏、尾高氏、井上氏、下野氏、高関氏起用で演奏力を高め、残りは地元向けや若者向けのポップスやゲームアニメ曲でしのいで、財務をよくして人材を集めるしかないのではないと思います。このままでは日フィルに負け、水をあけられます(ただしラザレフ氏が来れればの話ですが)。上岡氏のような斬新さを追う賭けの人選は当分控えたほうがいいでしょう。定年の近い奏者も多いみたいですから、読響や東響のような優秀な若手の確保ができるかどうかですね。運営者はビジョンを持ち着実に頑張ってもらいたい。50年史という本が出たようですが買いませんでした。、朝比奈氏、小澤氏時代が懐かしい。

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