2024-02

2022・7・1(金)モーツァルト:「コジ・ファン・トゥッテ」

      日生劇場  2時

 藤原歌劇団と、日生劇場のNISSAY OPERAのシリーズの一環で、3回公演の初日。
 川瀬賢太郎が新日本フィルを指揮し、岩田達宗が演出した。歌手陣はダブルキャストで、今日は迫田美帆(フィオルディリージ)、山口佳子(ドラベッラ)、岡明宏(グリエルモ)、山本康寛(フェランド)、向野由美子(デスピーナ)、田中大揮(ドン・アルフォンゾ)。合唱は藤原歌劇団合唱部、チェンバロは浅野菜生子。

 岩田達宗の演出は、あまり奇を衒わないストレートなスタイルで、特にアリアの中における登場人物の感情の変化を、演技だけでなく照明(大島祐夫)の変化とともに描き出すという手法も目を惹いた。

 舞台中央には2つの女性の等身大のマネキン人形が時々登場し、グリエルモとフェランドがそれを崇めるという設定は、あたかも男たちが「貞節な女性の理想像」を勝手に作り上げてそれを追い求める気質を象徴しているかのよう。これはすなわち、実際の生身の女性たちからすれば、男たちが勝手に考えているようには行かないわよ、ということになるのだろう。

 ラストシーンは予想通り、こんなことのあとで、仲直りなどはもってのほか━━という状態で終る(ように見える)。結局、このオペラに秘められた、男も男だが、女も女だ、というコンセプトが明確に生かされた演出になっていることは理解できる。
 あの有名な歌詞「コジ・ファン・トゥッテ」は、「女はみんなこうしたもの」などという昔ながらの邦訳は当然ながら誤りであり、原語通り「(男も女も)人間はみんなこうしたもの」とされるべきで━━今日の岩田達宗自身による字幕でもまさに「人間は」となっていた。

 序ながら今日の字幕、デスピーナが偽医者に化けて出て来る場面で「先端の医療」とか「副作用」などのトレンド用語が出て来ていたのにはニヤリとさせられる。

 川瀬賢太郎の指揮する新日本フィルは━━1階席真ん中あたりで聴いた範囲では、最初のうちあまりに音が薄いのに驚き、モーツァルト特有の美しい和声感が全く再現されていないのに苛立たしさを感じたが、第1幕の途中、フィオルディリージのアリアのあたりからはオケ全体が鳴り出したようで、少し安堵した。この劇場のピットでオーケストラをたっぷりした音で響かせるには、ある種のコツが要るようである。

 歌手陣はみんな手堅く歌を聴かせてくれたが、特に迫田の伸びの良いソプラノに拍手が集まった。また、演技面でも、向野由美子を筆頭に、みんなかなり細かい芝居を見せてくれた。敢えて言えば、もう少し「熱っぽさ」のようなものがあってもよかったのではないかという気もするが。

 5時40分終演。

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