2024-03

2022・7・4(月)ロト指揮ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団

       サントリーホール  7時

 プログラムは変わって、ベートーヴェンの「レオノーレ」序曲第3番、サン=サーンスの「ヴァイオリン協奏曲第3番」(ソリストは樫本大進)、シューマンの「交響曲第3番《ライン》」。
 「第3番」ばかり意図的に集めたとしたのなら、正規のコンサートとしては随分風変りな選曲コンセプトと言えよう。だが鬼才フランソワ=グザヴィエ・ロトの指揮は、今日も痛烈かつ鮮烈で面白く、どの作品をも極めて新鮮に感じさせてくれた。

 たとえば「レオノーレ」序曲では、段差をつけながら叩きつけるように変化して行くデュナミークの強烈さ、ハリネズミのように毛を逆立てた音の連鎖が特徴的で、この曲が極度に攻撃的な性格を持って描かれる。そもそも「フィデリオ」というオペラは、こういうイメージで捉えられるのが正しいのだ、ということを教えてくれるような演奏だ。
 ベートーヴェンの作品の演奏でこういう新鮮な感覚を味わったのは、私にとってはおよそ30年前、このサントリーホールで、ガーディナーが初めてピリオド楽器のオケによる交響曲全9曲をツィクルスでやったのを聴いた時以来である。

 サン=サーンスの「協奏曲第3番」も秀逸の極みと言うべきか。これまで聴き慣れた、所謂フランス的な、流麗な演奏とは大違い、けば立った音色に劇的なダイナミズム、演奏によって作品がかくも異なった性格を持ちうるのだということを実証したロトの指揮。ただ第2楽章だけは、粒立ちながらも見事な旋律美にあふれた官能的な叙情性を浮き彫りにしていたのが流石である。

 ソリストに迎えられた樫本大進も、流石ベルリン・フィルのコンサートマスターの貫禄で、端整なスタイルながらオーケストラと完全に合致した快演を披露してくれた。いや、時には、彼がオケをリードしているような印象さえ得たくらいである。なお、彼のソロ・アンコールは、バッハの「無伴奏パルティータ第2番」からの「サラバンド」。

 プログラム前半のこの2曲を堪能しすぎた(?)所為か、後半の「ライン」は━━もちろん、いい演奏ではあったけれど━━まあそうなるだろうな、という感で聴かせてもらったのが本音。ケルンのオーケストラだからご当地ものの「ライン」を持って来たのかな、などと、かつて何度か訪れた現地の光景などを思い浮かべる。

 だが、アンコールに演奏したベルリオーズの「ベアトリスとベネディクト」序曲が、これまた通常の演奏のイメージとは正反対で、金管を抑え気味にして豊潤な響きをつくり、壮麗で柔らかい音楽としていたのには驚嘆させられた。まるで別の曲のように思えたほどである。ロトという指揮者、まったく底知れぬ感性を持った音楽家だ。

コメント

赤穂で拝聴しました!

7月5日、赤穂化成ハーモニーホールにて、同プログラムを拝聴しました!久々の海外オケとあって、嬉しさ百倍!素晴らしい演奏でした。「レオノーレ」序曲、爆発的な音の積み重ね。新鮮でした。サン=サーンスの「ヴァイオリン協奏曲」、樫本さんの熱演。聴きごたえありますね。シューマンの「ライン」、躍動感あふれていました。それにしても、マエストロ ロト、ダイナミックな指揮ですね。素晴らしかったです!ああ!楽しかった!会場も、「ブラヴォー」の連発。オケの皆様、いい表情なさってました!

先生と同じ日に赤坂で拝聴しました。ベートーヴェンやシューマンはやや鋭角的で内声がカラフルに浮き立つ古楽的な演奏で、サン・サーンスはフランスらしい優美さを生かした演奏で、ロト氏の曲の描き分けの絶妙さを感じました。樫本大進さんは2019年のチェコフィル公演で聴いたばかりですが、相変わらず見事。「ライン」では代演ホルンの日本人奏者を含めた金管はミスはなく豊麗で立体的な響き。曲目に冒険はないですが、これは見事。ケルンWDR(旧・ケルン放送)交響楽団ではないので、いくら歴史があっても演奏力には限度はありますが、ウィーンフィル以来ですが、最近来日の少ない欧米オケのサウンドを堪能しました。ケルンギュルツニヒといえば、壮年期のヴァントのモノラル盤のベートーヴェンやブルックナー8番の教会でのステレオライブの渋いモノトーンのイメージがありますが、ロト氏だけにサウンドはがらっと21世紀仕様ですね。

川崎で拝聴しました。

 この日の演奏も概ね、東条先生のご意見に則した感じの内容でした。ただ、プログラム後半、アンコールも含め、上手の方で、「スースー、サーサー」何某かの楽器の演奏に伴う雑音がずっと聴かれました。どの楽器なのか、自分の座席から見えない所かららしく、特定できなかったのですが、弦なら前から後ろに送って、裏で替えてくる、管であっても一旦、指揮者なり、演奏家が楽章間で止めて、相談するなど、もう少しできることはあったはずです。その点が逆に、このオケの実力を物語っているのかもしれません。
 関西の公演は京阪神から遠い赤穂だったそうですが、やはり、ブラボーは全国の多くの公共ホールで禁止していることなので、地方都市と言えども、とりわけ、かの赤穂義士の町、ということですし‥討入りの理由も諸説あるようですが‥残念なことです。
 東京でも、最近、件のツーショットおじさんが城南方面での声楽コンサートに出現し、こともあろうに、わざわざ楽屋口の中にまで入って写真を撮り、HPにまたまたアップしたようです。
 最近、Jリーグでも、改めて、トラブルを頻発させるファンの多いクラブに対し、協会が毅然とした警告を突きつけました。歌手の一存なのか、ホール側の承認があったのか、定かではありませんが、感染が増える中、一旦、状況をよく考える‥件の人物に自省を求めるのは、もはや全く無理なのでしょうが、せめて、演奏や運営のプロの方々には、熟慮し、しっかりした対応をして欲しい所です。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

























Since Sep.13.2007
今日までの訪問者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

・雑誌「モーストリー・クラシック」に「東条碩夫の音楽巡礼記」
連載中