2024-05

2022・7・9(土)広上淳一指揮日本フィルハーモニー交響楽団

       サントリーホール  2時

 「フレンド・オブ・JPO(芸術顧問)」の広上淳一が指揮する7月東京定期(2日目)を聴く。今回定期はブルッフの「スコットランド幻想曲」(ヴァイオリン・ソロは米元響子)と、ブルックナーの「交響曲第7番」(ハース版)というプログラム。コンサートマスターは扇谷泰朋。

 広上が指揮すると、どのオーケストラもみんないい音を出す。音色の問題だけではない。最近の彼の指揮には、あたたかい情感といったものが、いっそう豊かに備わって来ているのではないか。
 「スコットランド幻想曲」第1楽章の、民謡をもとにしたあの旋律も、今日は不思議な郷愁感をたたえていたように感じられた。こういう「歌」を、殊更の衒いなく、自然に聴かせてくれる今の広上の指揮なのである。

 また、ブルックナーの「7番」第1楽章の第1主題が、かくも伸びやかに大きな広がりをもって、しかも感情豊かに響き始めた演奏を、私はこれまでほとんど聴いたことがない。広上はブルックナーを本格的に手がけ始めてまだ間もないはずだが、これは今後期待充分だ。
 第1,3,4楽章の終結部の盛り上がりも見事で、特にスケルツォの終結は豪快な力に満たされた。また第4楽章の終結も、いたずらにテンポを速めないという譜面通りの指揮で、雄渾壮大な気宇にあふれていたのが嬉しい。

 なお今回はハース版による演奏という触れ込みだったが、第2楽章後半の頂点個所では━━よく使われるテだが━━ティンパニが追加されていた(ここはやはりティンパニが轟いた方が「決め」になる)。
 ただそのティンパニのパートは、ノーヴァク版のそれとは異なり、第179小節と第180小節のそれぞれ最後の4分音符がトレモロでなく「1発叩いた」だけの演奏になっていた(これはどうも音響的に隙間が生じてしまうように感じられ、些か賛意を表しかねる)。

コメント

初日に、お気に入りのRBブロックで聴きました。広上先生の円熟ぶりは間違いのないもので、かくも正調のブルックナーが聴けるとは、予想外の喜びでした。一楽章のラストの盛り上げでも、敢えて抑制した演奏設計が伺われ、ギルバートの鳴らせっぱなしの演奏とは一線を画すものでした。ただ、全体にもう少しだけテンポの揺らぎがあってもよかったかと思います。あの朝比奈先生もさりげなくテンポを動かし、長丁場にメリハリをつけていたことを思い出しました。オケは好調。ネットでは批判も出ていましたが、小生は国内オケで、あそこまで揃ったホルン・ワーグナーチューバの合奏を耳にしたことはありません。ホルン1番がベテラン客演首席丸山氏、ワーグナーチューバ1番が若手筆頭株の首席信末氏、以下の6人も見事でした。トランペットは相変わらず盤石、木管もグッド。弦楽器にもひときわ厚みが出てきました。日本フィル、前は二日目の完成度が高かったようですが、初日でも十二分の完成度の高さ。これまでとは一味も違う一流オケのレベルになったと思います。全曲終了後の5秒程度の全ホールの静寂も見事でした。ただ、2楽章のティンパニの扱いだけは?でした。最新の校定楽譜なら仕方がありませんが、そうでもない様子。ちょっと中途半端でした。ハース版と銘打つなら一切無しでも良いと思います。もっとも小生は元アマチュア打楽器奏者なので、シンバル・トライアングルも欲しい人間ですが・・・暑さとものすごい第七波ですが東条先生みなさまくれぐれもご自愛ください。

楽しめました

1、2楽章て゜約41分、全体で65分位のややゆったり目の演奏、確かにテンポは落ち着いていて、深い祈りというよりは、むしろ強い意志を感じさせる見事な演奏でした。往々にして前半の二楽章で満喫してしまうのですが、今回は後半の二つの楽章もとても魅力的でブル7の素晴らしさを堪能しました。金管・木管始めオケも好調!日フィルでは前回の6番も名演でしたが、今後も広上・ブルシリーズを順次聴けることを楽しみにしています。

テンポの動きや弦の響き、緻密な設計のうえに即興ののった美しいブルックナーでした。遅めのテンポを基調にした格調の高ささえ感じられ、日フィルはラザレフ元帥の時だけ頑張るのではない(笑)と感心しました。ロトの第4番第1稿のような刺激も新鮮ですが、高揚も静謐も安心して聴きこめる演奏でした。この日の弦は殆どN響なみに繊細でつややか。木管も上出来。ホルンはブルックナーだけエース信末氏がワーグナーチューバに回ったため、いつものように精度が今一つでしたが、トランペットのクリストフォリ氏やティンパニーなど、個々の主要奏者のポテンシャルに感心しました。いつも、こうだったらいいのですが…。天才肌とみられる広上先生ですが、緻密なパースペクティブや音へのセンスを積み重ねて名演を生み出しているのではないかと思いました。ブルッフは米本さんのじっくりと哀切極まる繊細な歌いまわしが美しく、例えばチョンキョンファのように悪めだちする演奏が多い中で、上品さが胸に突き刺さる演奏でした。イザイを得意にしている方で、CDも出ていますが、作品に身をささげた良い演奏です。回し者ではありませんし、もっと名盤があるとは思っていますが、ご興味があれば…。

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