2024-02

2022・7・18(月)びわ湖ホール ヴェルディ:「ファルスタッフ」

       滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール  2時

 「びわ湖ホール オペラへの招待」というシリーズでの上演。こちらは15日から4日連続の公演で、今日が最終日である。
 ピットには園田隆一郎の指揮する大阪交響楽団が入り、田口道子が演出した。

 歌手陣はダブルキャストで、今日は青山貴(ファルスタッフ)、山岸裕梨(アリーチェ)、坂田日生(メグ・ページ夫人)、藤居知佳子(クイックリー夫人)、熊谷綾乃(ナンネッタ)、市川敏雅(フォード)、清水徹太郎(フェントン)、古屋彰久(カイウス)、奥本凱哉(パルドルフォ)、林隆史(ピストーラ)という顔ぶれ。

 舞台美術(稲田智香子)を含め、中ホール(客席数800)にちょうどいい規模の上演と言えたであろう。田口道子の演出もごくオーソドックスなスタイルである。開幕前(客電が落されてから)に彼女が舞台に登場し、「初めてオペラを観る方もいらっしゃるでしょう」とレクチャーを始めたところからすると、このプロダクションがそのような観客を主たるターゲットにしていたことが推察される。

 歌手陣も良かったが、特に題名役の青山貴が素晴らしい。彼の「ヴォータン歌い」としての力量、風格などはこれまでにも充分に承知していたところだが、このファルスタッフ役でも、彼の幅広い芸域に改めて感嘆させられることになった。メイクはいかにも好人物といった雰囲気で、歌唱と演技にはあくどさとか、図々しさといった表現はやや希薄だったが(演出の意図にも因るだろう)声の風格においては群を抜いた存在感を誇示し、舞台の中心的存在を成していた。

 その他の歌手陣も手堅く、それぞれの役柄の個性を強く発揮するというわけには行かなかったものの、一種のアンサンブル・オペラのような性格を以て舞台が展開されて行ったように感じられる。そういえばプログラム冊子の配役表に、青山らの客演歌手を含めて「びわ湖ホール声楽アンサンブル」と記してあったところをみると、当初からそれが狙いだったのかもしれない。

 とはいえ、園田隆一郎の指揮を含め、オーケストラには大きな疑問が残る。そもそも「ファルスタッフ」というオペラは、歌のパートと同様、オーケストラにも、本来はもっと機知に富んで、闊達で、躍動的な音楽があふれる作品ではなかったろうか? 
 その意味では、今日の演奏は何とも活気に乏しく、重く、表情の変化に不足していた。園田はもともと、こういう指揮をする人ではなかったと思うのだが、あるいはオーケストラに足を引っ張られたのか? 歌手陣が健闘していただけに、実に惜しいことであった。

コメント

  ホワイエで東京組の顔を何人も見ましたので、それだけ注目の公演だったということですね。青山貴さんがお目当てだと思いますが、びわ湖ホールのヴォータンがどんなファルスタッフになるのか、私も興味津々でした。たぶん彼は初役のはず。来春にはここでハンス・ザックスを歌うようですから、まさに旬の歌い手ですね。ドイツものを歌うことが増えても、イタリアもののスタイルが崩れないのがいいですね。

  びわ湖ホールの「オペラへの招待」シリーズには、ときに瞠目すべき公演があるので見逃せません。急遽代役に村上敏明さんを迎えた「ホフマン物語」であったり、驚愕の「連隊の娘」であったり、最近では中村恵理さん入魂の「つばめ」がありました。こうしてみると、びわ湖ホール声楽アンサンブルの固定メンバーに誰か一人客演が入ったときに化学反応が起きるのではないかという気がします。

  西宮で東条さんがおっしゃっていたライブ配信がらみでは、びわ湖ホールではこの公演の17日と18日の分をWeb視聴できるようにしているようですね。そのあたり、阪神間の山手エリアのほうを見ている西宮と、広域へのアピールが必須の大津との違いではないでしょうか。関西と一括りにするのは間違い、なにかにつけ京・阪・神は別々なのです。

  演出の田口道子さんのプレトークで「ヴェルディは生涯で27曲のオペラを書いた」とおっしゃっていたのが気になりました。私は、26作品、「エルサレム」と「アロルド」の改作を加えると、28作品だと思っていたので、ご本人にどういう数え方なのか直接お聞きしたいと思いましたが、ホワイエで遭遇できず。

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