2024-03

2022・7・25(月)アラン・ギルバート指揮東京都交響楽団

       サントリーホール  7時

 7月定期のBシリーズ。首席客演指揮者アラン・ギルバートが登場、モーツァルトの交響曲「第39番」、「第40番」、「第41番《ジュピター》」を指揮した。コンサートマスターは矢部達哉。

 3曲とも弦12型で━━但し12・12・8・6・4という編成が採られていた━━演奏されていたが、その弦もノン・ヴィブラート奏法でなく、そしてガリガリとした鋭角的な音色の演奏でもなく、あくまで柔らかくたっぷりした響きで弾かれるので、あたたかく豊潤なモーツァルトが立ち現れていたという感だ。
 こういうスタイルのモーツァルトは、なにか久しぶりに聴いたような気がするが、あらゆる個所が引き締まって活気に溢れているので、些かも旧さを感じさせないところがいい。

 アランは、基本的に弦を主体とするような響きを設計していたようにも見える。例えば「ジュピター」の第4楽章では、管楽器群の微細な動きはむしろ背景を彩るハーモニーのタペストリーのようなイメージにとどまり、専ら弦楽器群の分厚い響きが音楽を上へ上へと高めて行くという印象を与えていた。

 しかしその一方、必要とあらば、管楽器群を存分に浮き彫りにしていることは言うまでもない。たとえばその「ジュピター」の第2楽章では、モーツァルト特有の木管の素晴らしいハーモニーがはっきりと浮かび上がり、和声の精妙な動きが音楽の起伏をつくって行くという具合なのだった。このあたりの音楽づくり、アランも実に巧くなったな、と感心させられる。

 3曲のシンフォニーの異なった性格を、殊更に強調するのではなく、作品本来の色合いに従って自然に描き出して行くというアラン・ギルバートの指揮。都響が響かせた柔軟な表情も見事で、この日のモーツァルトは、予想をさらに上回る演奏となった。
 「ジュピター」が終ると同時に起こった爆発的な拍手は、聴衆の満足度の高さを示していただろう。以前だったら、ブラヴォーのハーモニーが上階席から湧き起ったところだ(そろそろあの声が聞きたくなった)。アランと都響の組み合わせ、大成功である。

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