2024-03

2022・7・31(日)東京混声合唱団&新国立劇場合唱団

     東京オペラシティ コンサートホール  3時

 プログラムには両団体の「共同主催」ではなく、「合唱音楽協会」主催と表示されているので、東京混声合唱団(東混)側がホスト的な立場なのだろう。
 同協会は、東混と他の合唱団(アマチュア合唱団)と協演するシリーズを活動の骨子の一つとしているが、今回はその大発展型として、プロの強敵(?)と組む演奏会を企画したのだと聞く。

 つまりこのコンサートは、演奏会活動を中心とする東京混声合唱団と、オペラ活動を中心とする新国立劇場合唱団とが協演して、一つのステージでオペラの合唱曲や日本の歌曲を一緒に歌い合う、というものなのである。面白い企画だ。

 第1部では三澤洋史(新国立劇場合唱団首席指揮者)のもとで、まず新国立劇場合唱団が「カヴァレリア・ルスティカーナ」の「オレンジの花の香り」を歌い、それから2団体が合同でバッハの「モテットBWV220」と、モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプs」と、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」からの第4曲と、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」からの2つの合唱を歌う。
 第2部ではキハラ良尚(東混常任指揮者)のもとで、まず東混が池辺晉一郎の「東洋民謡集」からの2曲を歌い、それから2団体が信長貴富の「飛び交わす言葉たち」と「くちびるに歌を」、そして三善晃の「唱歌の四季」を合同で歌う━━という仕組。
 ピアノは鈴木慎崇と津田裕也が弾いた。

 それぞれ個性の際立った2つのプロ合唱団が合同で歌った時のハーモニー感とか、どのような表現がつくり出されたかなどといったことについては、私にはさしあたり云々できる自信はない。とはいえ、総計50人近くになるにわか仕込み(?)の「合同の合唱団」には、アンサンブルの緻密さなどは、望むべくもなかろうと思う。

 ただ、その量感はさすがのもので、ブラームスやワーグナーでは、それらに相応しい壮大な拡がりの世界を感じさせたことは確かだ。
 しかし一方、日本の唱歌集などでは些か大袈裟な感を免れなかったが、これは先入観による誤解でなければ、そもそも日本の合唱作品に大編成の合唱が必要なのか、あるいは大編成によるフォルティシモの歌唱が必要なのか、という問題を━━国民性の問題も絡めて━━考えさせてくれる一つの例となるのかもしれない。

 ともあれ、それぞれの合唱団が独自に歌った曲を比較して、一瞬ながら感じたのは、劇的な迫力を漲らせるという点では、さすがオペラの合唱団だけあって、新国立劇場合唱団の力量は立派なものだ、ということ。
 そして一方、東京混声合唱団は、さすが演奏会で鍛えただけあって、例えばディミヌエンドして行く個所などでの柔らかい空間的な拡がりの豊かさには、天下一品美しいものがあるな、ということ。

 合唱の醍醐味を味わわせてくれた演奏会だった。

コメント

鳴り物入りで東京混声合唱団の理事長・音楽監督に就任した山田和樹氏が、もう少しこの団体と共に存在感を出してくれることを望みます。

意義深いコンサートだったようです

残念ながら、このコンサートも聴き逃していますが、今回、三澤氏の公式HPでこのコンサートのことを読み、その意義について感服しました。以前、三澤氏の著書を読んで以来、合唱指揮者というものに興味を持ちましたが、改めて彼が率直に示してくれている彼の活動や考え方に非常に興味を持ちました。また、指揮のZoomレッスンをアマチュアの人にも行っていることを知り、驚いてしまいました。何れにしても、合唱指揮に集中して自らの信念に基づき、有言実行で突き進んでいく、三澤氏の姿勢に感銘を受けました。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

























Since Sep.13.2007
今日までの訪問者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

・雑誌「モーストリー・クラシック」に「東条碩夫の音楽巡礼記」
連載中