2024-03

2022・8・9(火)ロッシーニ:「泥棒かささぎ」(演奏会形式)

     フェスティバルホール(大阪) 2時

 東京では☞2008年3月8日に藤原歌劇団が楽しい舞台上演をやったことがある。今回は演奏会形式上演だが、めったにナマでは聴けないオペラなので駆けつけた。東京などからも何人かが聴きに来ていたが、「平日でなければもっとみんな来たんじゃないですか」とは東京から来た知人の言。
 これは「第60回大阪国際フェスティバル2022」の公演で、昨年行われるはずだったのが延期されていたものだ。

 結論から先に言えば、これは大成功のプロダクションである。まず園田隆一郎の指揮と、大阪交響楽団の演奏がいい。先日の「ファルスタッフ」とは比べものにならぬ出来の良さだ。柔らかくて無理に煽りたてない、穏やかなタイプの演奏だが、ロッシーニの音楽の美しさと、劇的な持って行き方とを、見事に掴んだ構築である。
 それに、今回は歌手陣が充実していた。顔ぶれは以下の通り━━

 晴雅彦(農場主ファブリツィオ)、福原寿美枝(その妻ルチーア)、小堀勇介(その息子ジャンネット)、老田裕子(同家の小間使いニネッタ)、青山貴(ニネッタの父フェルナンド)、伊藤貴之(村の代官ゴッタルド)、森季子(ニネッタの親友の農民ピッポ)、片桐直樹(裁判官)、清原邦仁(小間物商イザッコおよび看守アントーニオ)、西尾岳史(代官の部下ジョルジョ)。
 合唱は関西二期会と関西歌劇団のメンバー15人と、藤原歌劇団からの1人による16人編成。なお「かささぎ」役はダンスで演じられ、大阪芸大の武田空が受け持っていた。

 演奏会形式上演なので、舞台前面や奥のスペースを動き回ってのイメージ的な演技は多少加えられているが、概して客席正面を向いての歌唱である。登場人物が多いので、男性役の歌手たちが全員同じ服装というのは、人間関係が少しく解り難い部分もあるだろう。特にアンサンブルの場面がそうだ。このあたり、今ひとつ工夫が凝らされていればと惜しまれた。
 しかしソリストたちは、ほぼ全員が、オレがオレがと言わんばかりに美声を聴かせる。それにより、イタリア・オペラの面白さを充分に伝えてくれたことは疑いない。

 小堀勇介は快調そのもので、胸のすくようなテナーを誇示した。そして、見事だったのは青山貴である。先日のファルスタッフに次ぐイタオペでの優れた歌唱を聴かせてくれたが、この人の芸域の広さには、今回もまた改めて驚くほかはない。

 晴雅彦の冒頭場面でのコミックな演技と歌の表現も面白いし、福原寿美枝の「怖いおばさん」(これはいつもながらサマになっている!)から「情あるおばさん」への変身ぶりもなかなかのものだ。片桐直樹の風格充分の、それでいてどこか明るい裁判官もいい。

 老田裕子も綺麗な声だが、このニネッタは少し可憐に過ぎ、「罪のない虐められ役の少女」という面を強調し過ぎたのではないか? 
 伊藤貴之の代官も、もう少し悪役然とした雰囲気があったら━━というのは、このように「同じ服装で全員が並ぶ」舞台では、ひとりひとりの個性が強調されていないと、前述のように、ストーリーが解り難くなるという傾向があるからである。

 20分の休憩を含み、5時半近くに終演。大阪市内の中心部も大阪駅も、また新大阪駅も、人で猛烈にごった返している。

コメント

Bravi!

老田さん、小堀さんという、今、ロッシーニのアジリタを歌わせたら、おそらく我が国最高水準の歌唱を聴かせてくれる二人を主役級に据え、他の役にも見事に東西の実力派歌手を揃えた顔ぶれが功を奏し、とても完成度の高い公演となりました。

上記に言及されている皆さんの熱唱に加え、清原さんの美声は健在でしたし、かつてびわ湖ホール声楽アンサンブルのコンサートミストレスとして活躍され、同アンサンブル東京公演で素晴らしいソロを聴かせてくれた森さんのお元気な姿を拝見できたのも望外の喜びでした。

個人的には、園田さん指揮の大阪響は(とても丁寧に歌手に寄り添っていましたが)メリハリのある、エッジの効いた沸き立つような表現に少し不足したように感じたのですが、それも好き嫌いの問題でしょう。声楽陣の中で合唱団のみマスク着用でしたが、あれは仕方なかったのでしょうか。本番のみマスクを外すなどの工夫はできなかったものかと少し思いました。かささぎ役もマスク着用で踊るのはちょっと可哀想でしたが・・・。

涙を呑んで

 やはりお越しになりましたか。延期になったこの公演、早々にチケットを確保していたのはいいが、あろうことかコロナ陽性となり、自宅幽閉期間と重なってしまいました。泣く泣くチケットを他の方にお譲りしたという次第。
 何と言っても小堀勇介さんでしょうね。聴けなくて本当に残念。他のキャストもよかったようですね。
 コロナはたった3日で快癒したのに、保健所の指導というのが困りものです。こんなのただの風邪、早々に二類感染症から除外してほしいものです。

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