2024-03

2022・9・9(金)山田和樹と大阪4オケのシューベルト第2日

        住友生命いずみホール  7時

 第2日は大阪交響楽団(コンサートマスター・森下幸路)が登場。交響曲の「第2番」「第6番」「第4番《悲劇的》」を配列した、重量感たっぷりのプログラムである。

 昨日の関西フィルは弦10型だったが、今日の大阪響は8型である。だがその音の厚みと豊かさには感嘆した。アンサンブルも濃密で、弦と木管のバランスなど見事なこと。私が最近聴いた大阪響の演奏の中でも、これはべストに属するものではないかという気がする。そういう演奏を引き出した山田和樹の手腕も、やはり卓越したものだ。

 「第2番」の冒頭から、私も好きな所謂「アナログ的な響き」━━それは多分マエストロの本領でもあるようだが━━の重厚かつ壮大な趣きの演奏に心を打たれる。
 「第1番」からこの「第2番」へのシューベルトの作風の飛躍ともいうべきものを、これだけ明確に感じさせた演奏も、そう多くはないだろう。先輩作曲家たちの音楽をパロディ化してシューベルト風にしたり、とりわけ終楽章では展開部に野性的な曲想を入れたり━━例の「僕は泣いちっち」そっくりのフシが繰り返されるくだりである━━と、かなり「大暴れ」するこの面白いシンフォニーを、山田和樹は曲想に相応しく、ダイナミックに構築していた。

 一転して「第6番」での演奏の落ち着いた明るさもいい。第4楽章でのイタリアのオペラ・ブッファにでも出て来そうな主題が軽やかに、しかし端整に弾んで行く呼吸もなかなか巧かった。終結に向かって猛然と煽って行く盛り上げの巧さは山田和樹ならではのもので、これが「ハ長調交響曲」として「ザ・グレート」との共通点を持つ作品であることを証明した演奏となっていたことは言うまでもない。

 そして、今夜のプログラムの中でも、私が最も感嘆したのは、休憩後に組まれていた「4番」における演奏だ。第2楽章がこれほど甘美に、豊麗に歌われた演奏を私は他に知らない。両端楽章でのふくよかでしなやかな叙情も印象的で、そこには「悲劇的」な性格はほとんど感じられなかったが━━その点については意見も分かれるかもしれない━━しかし山田和樹と大響がそこでつくり出したあたたかい美しさは、まさに見事なものだった。私がこれまで聴いた「第4番」の中でも、これはとりわけ個性的な主張に富んだ演奏ではなかったか、と思う。
 充実した演奏会だった。

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