2024-03

2022・10・6(木)サイモン・ラトル指揮ロンドン交響楽団

      サントリーホール  7時

 第1部にベルリオーズの序曲「海賊」、武満徹の「ファンタズマ/カントスⅡ」(トロンボーンのソロはピーター・ムーア)、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」。第2部にシベリウスの「交響曲第7番」と、バルトークの「中国の不思議な役人」組曲。
 今どきの演奏会には珍しい盛り沢山のプログラムだろう。

 ここサントリーホールで、海外の16型大編成のオーケストラを聴くのは、随分久しぶりのことである。
 わが国のオーケストラも今日ではもちろん上手いけれど、それとは響きが全く違う。ステージの空間全体を、沸き立つ音たちがぎっしりと埋め尽くしているような━━しかもその音たちが全て「色」を感じさせる、とでも言ったらいいか。
 海外のオーケストラだからと言って全てがこういう演奏をするとは限らないし、また英国のオーケストラは欧州大陸のそれに比べると淡白な音色である、などという指摘もかつてはされていたものだ。が、しかし、久しぶりに聴くロンドン響の演奏は、やはりまさしく「泰西の大オーケストラ」に違いなく、それは実に新鮮に、魅力的に感じられたのである(以前のような外来オケ・ラッシュが蘇れば、どうせまた慣れっこになるだろうが)。

 オーケストラのその良さは、円熟著しいラトルの指揮から導き出されたものにほかならない。「ラ・ヴァルス」と「中国の不思議な役人」では、凄まじい最強奏の個所においてさえ、特に弦楽器群が少しも刺激的な音にならないのに感嘆した。そして、音楽が沸騰に沸騰を重ねて、怒涛の勢いで終結の頂点に向かって行くあたりの、ラトルの指揮の見事さ、ロンドン響の巧さ。

 一方、シベリウスの交響曲では、低音を底力豊かに響かせ、地鳴りのするような強靭な音楽に創り上げて行くラトルの設計に驚かされた。この交響曲が今回ほど重々しく、解放感のない突き詰めた性格の曲に感じられたことは、かつてなかった。ラトルも随分独創的な解釈をするものだと、改めて感じ入った次第である。

 ラトルの日本語での挨拶と紹介に続いて演奏されたアンコール曲は、フォーレの「パヴァーヌ」。ロンドン響の木管群が可憐に美しく歌った。先日のディーリアスの小品といい、これといい、こういう叙情的な優しさを湛えた演奏は、ラトルがベルリン・フィルを指揮していた頃にはあまり聴けなかったような気がする━━まあ、ザルツブルクでもエクサン・プロヴァンスでも、たまたま大編成のダイナミックなプログラムばかりにぶつかっていた所為もあるが。

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