2024-03

2022・11・4(金)小泉和裕指揮名古屋フィル マーラー:「復活」

     愛知県芸術劇場 コンサートホール  6時45分

 これは名古屋フィルハーモニー交響楽団の11月定期の初日。マーラーの「交響曲第2番《復活》」が演奏された。
 音楽監督・小泉和裕が指揮し、グリーン・エコーと名古屋コール・ハーモニア、安井陽子(S)、福原寿美枝(Ms)が協演。コンサートマスターは荒井英治。

 小泉和裕は、10月の九州交響楽団の定期でもこの「復活」を指揮していた。彼のそれぞれの音楽監督としての任期は、九響は2024年3月までだが、こちら名フィルの方は、2023年3月で終る。従ってこの「復活」は、2016年4月以来の、彼の音楽監督としての最終シーズンのクライマックスを成す演奏会と言ってもいいだろう。ただし彼の登場する定期は、まだ来年2月にもある。

 演奏は予想通り、厳格に構築された揺るぎない「復活」である。音楽がどれほど激情と狂乱の坩堝となった個所においてさえ、彼の指揮はそのフォルムを崩さない。1975年1月の新日本フィル定期で初めて彼の指揮に接して(放送もした)以来、ずっと私が聴き続けて来た小泉和裕の、それが個性だ。忘我的な陶酔に引き込まれるというタイプの指揮ではないけれども、シンフォニーというものの音楽の建築の魅力を充分に感じさせてくれる指揮なのである。

 「シンフォニーをちゃんと演奏できるオーケストラにしたいんだ」というのが、彼がいろいろなオーケストラのシェフになる時の口癖だった(私が最初にそれを聴いたのは彼の都響の首席指揮者就任の際だったが)。ただ、彼の指揮が感情の動きを無視するというスタイルではないことは、改めて言うまでもない。今日の演奏でも、凄まじい感情の爆発点がいくつも聴かれていた。マーラーの交響曲が持つ起伏の物凄さは、存分に発揮されていた。名フィルは、渾身の演奏だったことだろう。

 声楽ソリストは、ステージ正面奥の壁面の一部が観音開きになった所から静かに登場し、そのまま奥に位置する(まるで「ヴァルキューレ」で暗黒の中からブリュンヒルデが登場するような雰囲気だ)。
 福原寿美枝のコントラルトはこれまで以上に深く、かつ強大になり、ますます凄味を増したように感じられる。「復活」でこれほど「恐ろしい」(悪い意味で言っているのではない)歌を聴いたことは、これまでにない。

 コーラスにはもうひとつ密度の濃さを求めたいところだったが、多分明日の公演では改善されるだろう。
 第5楽章でのバンダはその「観音開き」の奥から聞こえて来る仕組だったが、遠近感という点ではあまり効果が上がらなかったようである。

 プログラムが1曲だけなので、8時半前に終演となった。楽屋で小泉夫妻と久しぶりに会い、昔話を一つ二つして辞し、9時17分の「のぞみ」で帰京。

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