2024-03

2022・11・19(土)イゴール・レヴィット・ピアノ・リサイタル

      紀尾井ホール  2時

 ロシア系移民のドイツ人イゴール・レヴィットのベートーヴェンのピアノ・ソナタ・ツィクルス、前日の第1回(1、12、25、21番)に続く今日は、「第5番Op.10-1」「第19番Op.49-1」「第20番Op.49-2」「第22番Op.54」「第23番Op.57《熱情》」というプログラムが組まれていた。
 第3回と第4回は来年11月に行われるという。

 レヴィットが、難民問題やユダヤ人問題など政治的なテーマにつき積極的に発言し、ドイツでは広く注目を浴びているピアニストである、という、ベルリン在住の城所孝吉さんによる興味深い記事がプログラム冊子に載っているのを読んだ。
 面白かったが、レヴィットのそういう姿勢がベートーヴェンのソナタの演奏においてどのように反映されているのかをわれわれが読み解くことは、至難の業だ。やったとしてもせいぜい憶測かこじつけの範囲を出ないだろう。いずれにせよそれは━━ロリン・マゼールの名表現を借りれば━━「自分(この場合はレヴィットだが)の頭の中では繋がっている」ということになるのだろう。

 今日のプログラム、どの曲においても剛直で厳しくて、凄まじい意志の力を感じさせる表現の演奏ばかりだ。叩きつけるフォルティッシモは強靭そのもので、時には音が濁りかけることもあるほどだが、これが所謂「バリバリと弾く」演奏に感じさせないところが、この人の端倪すべからざる才能なのだろう。
 全身を武具で固めたような、強面のベートーヴェン像なのだが、「第20番」の第2楽章のような個所では、いわば「戦士の休息」といった表情を見せるのも面白い(彼がこれを弾き終った瞬間、客席の方に見せた笑顔が印象的だった)。

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