2024-03

2022・11・24(木)東京二期会 オッフェンバック:「天国と地獄」

      日生劇場  2時

 2019年に日生劇場で上演された鵜山仁演出版の再演。

 しかし、あの時(☞2019年11月21日)より今回の方が流れもよく、賑やかな盛り上がりもあったのは、原田慶太楼の活気に富んだ指揮によるところも大きいだろう。彼のオペラにおける指揮は、私はこれまでブルガリア国立歌劇場の来日公演での「カルメン」くらいしか聴いたことがないのだが、とにかく若々しい気魄と勢いを漲らせた人だから、今後が大いに期待できよう。少なくともこの「天国と地獄」のような陽気な音楽は、彼に向いたレパートリーの一つだと思われる。

 今回は4回公演。ダブルキャストの今日の歌手陣には、杉浦隆大(ジュピター)、高田正人(プルート)、下村将太(オルフェ)、冨平亜希子(ユリディス)、相山潤平(ジョン・スティクス)、手嶋眞佐子(世論)、倉本晋児(バッカス)ほか、たくさんの人々が並び、安定した歌唱を聴かせてくれた。

 演技の方は、日本人が洋物喜歌劇をやるのだから、総じてやや生硬な雰囲気はあるけれども、民族性の違いで致し方ない。ただ、第2幕での天上のボス神(杉浦のジュピター)と地獄のボス神(高田のプルート)の応酬場面などは結構テンポが良かったし、特に同幕最初を飾る相山(スティクス)の怪演(怪唱を含む)は、この幕を、第1幕よりも流れの良いものに変えるきっかけとなったことだろう。

 今回の舞台装置(乘峯雅寛)は、何となくレトロな雰囲気を━━ある同業者が「昭和の雰囲気」と言ったが━━確かに1960年代頃のオペラ上演の舞台のようなものを感じさせる。
 同じ東京二期会の「天国と地獄」でも、以前の佐藤信演出・美術の舞台の方が、もっと洒落ていたと思うのだが・・・・あの時の舞台設定は、天上の神々の住居が超モダンな洋風リビング、冥界の王プルートの館は中国風という趣向だったし、ユリディスは和服姿、地上に現れたプルートは半纏に刺青という格好だったし(☞2007年11月24日の項)。
 いや、1981年と83年上演のプロダクション(なかにし礼&萩本欽一の演出、朝倉摂の美術)だって、ジュピター御一行が地獄に向かって出発する時には機関車に引っ張られた客車が登場していたし・・・・それに比べると今回の舞台は、些か面白味に不足していたのではないか。

 オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団。劇場が残響ゼロにも等しい響きだから、洒落っ気を出すのは難しいが、原田の指揮のもとでまとまりはあった。なお今回は、序曲にはフレンチ・カンカンの入っている有名な方ではなく、オリジナルの静かな曲想の版が使用されていた。

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