2024-02

2022・11・27(日)びわ湖ホール ロッシーニ:「セビリャの理髪師」

      滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール  2時

 日生劇場との連携によるプロダクションで、びわ湖ホール恒例の「沼尻竜典オペラセレクション」の一環でもある。
 沼尻竜典(びわ湖ホール芸術監督)の指揮、粟国淳(日生劇場芸術参与)の演出、横田あつみの舞台美術。日本センチュリー交響楽団とC.ヴィレッジシンガーズ。
 主要歌手陣はダブルキャストで、今日の出演は━━小堀勇介(T、アルマヴィーヴァ伯爵)、山下裕賀(Ms、ロジーナ)、黒田祐貴(Br、フィガロ)、久保田真澄(Bs、ドン・バルトロ)、斉木健詞(Bs、ドン・バジリオ)、守谷由香(Ms、ベルタ)。

 全体に温かい雰囲気の「セビリャの理髪師」だったが、成功の最大の要因は、やはり音楽面にあるだろう。びわ湖ホールのオーケストラ・ピットの音響の良さもあって、日本センチュリー響は驚くほどしなやかで美しい演奏を聴かせてくれた。第1幕のフィナーレの大アンサンブルの個所や、その少し前に「騒ぎを聞きつけて飛んで来た兵隊たち」が背景から現れた瞬間の音楽がこれほど綺麗に聞こえたことはかつてなかった。

 それを引き出したのはもちろん沼尻竜典の手腕である。彼は全体に遅めのテンポを採り、ロッシーニの音楽の持つ叙情美を前面に押し出すことにより、このオペラを単なる陽気な馬鹿騒ぎに陥らせることなく、登場人物たちをヒューマンな、愛すべき人々として描き出していたように感じられた。そしてまた、煽り立てるようなテンポを採らなかったことにより、歌手たちの声や発音を明確に響かせることにも成功していたのだった。

 その歌手陣が、みんな優れた歌唱を示していたことも特筆しておかなければならない。私が特に感心させられたのは、輝かしい声を最後の長い大アリアに至るまで小気味よく保持し続けたアルマヴィーヴァの小堀勇介、魅力的な豊かな声と胸のすくような正確なアジリタを聴かせたロジーナの山下裕賀、渋く地味な存在と思わせておきながら突如最後のアリアで大ブレイクしてみせたベルタの守谷由香。

 一方、フィガロの黒田祐貴は細かいアジリタの個所がレガート気味になっていたのが少々気になったけれども、歌唱そのものはいいし、舞台姿も映えるので、今後のオペラ活動に期待が寄せられるだろう。ベテランの久保田真澄と斉木健詞の芸の巧さは、この舞台を支えるに大きな力があった。

 演出に関してはしかし、少々共感し難いところがある。脇役陣や助演陣の動きにあれこれ細かい趣向は凝らされているのだが、あいにくそこにどうも必然性が感じられないのである。珍しく回り舞台も活用されたが━━裏方たちがそれを回して見せる趣向も、その意図は解らないでもないが、やはり何か些か散漫な印象になる。

 20分の休憩1回を挟み、5時20分頃終演。

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