2024-02

2022・12・7(水)ロイヤル・オペラ「アイーダ」L.V

       日本シネ・アーツ試写室  1時

 「ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/23」の一つ、ヴェルディの「アイーダ」を観る。今年10月12日上演のライヴ映像。

 演出はロバート・カーセンだが、これは物凄い。METと違って先鋭的な演出プロダクションを多く出しているロイヤル・オペラだから、新作となればいろいろやるだろうと思っていたが、期待通りだ。

 ドラマは、現代の架空国を舞台として、全篇軍事色に包まれたものとなる。エジプトもエチオピアもピラミッドももちろん出て来ない。舞台を埋めているのはただ灰色の重苦しい、冷厳な現代の軍人集団だ。だが考えてみると、「アイーダ」という物語の基本は、まさにこの国家と軍による重圧感を描くところにあったのではないか? これほどこのドラマの読み替えに適合した演出は、これまで観たことはなかった。

 こういう演出で観ると、軍人たちが高く掲げる銃がシルエットとなって浮かぶ第1幕第2場の「神殿の場」の音楽は、何とも不気味に、身の毛のよだつような恐怖感を以て聞こえて来る。第2幕第2場はもちろん「凱旋の場」だが、大行進曲の場は何と戦死者の棺の葬列だ。
 バレエは、第2幕第1場のそれは宴会の準備の場面に変えられているが、「凱旋の場」では「戦士の踊り」的なものが挿入されている(従ってここだけがリアリティに不足する)。だがその場のクライマックスたる最後の大合唱の時、背景のスクリーンに展開するのは空軍の飛行機、ヘリ、戦艦、潜水艦などの映像。これがまた凄まじい。
 こういう演出は、あのベルリンの壁が崩壊した直後の90年代の「和解の時代」だったら、誰もやらなかっただろう。それが今また、出現する時代になってしまったのだ。

 指揮はアントニオ・パッパーノ。主役歌手陣は、エレナ・スティヒナ(アイーダ)、フランチェスコ・メーリ(ラダメス)、アグニェツカ・レーリス(アムネリス)、リュドヴィク・テジエ(アモナズロ)、ソロマン・ハワード(ラムフィス)、シム・インスン(エジプト王)。
 上演時間は約3時間半。一般公開は東宝東和の配給により1月6日からTOHOシネマズその他で。

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