2024-03

2022・12・7(水)ティーレマン指揮シュターツカペレ・ベルリン

       サントリーホール  7時

 シュターツカペレ・ベルリン━━日本での俗称はベルリン国立歌劇場管弦楽団━━の6年ぶりの来日公演。
 今回は総帥のダニエル・バレンボイムは来られず、クリスティアン・ティーレマンが代役として登場したが、彼とこのオーケストラのコンビは日本では初めて聴くものなので、むしろ面白味が増した公演だったと言えるだろう。
 この日はブラームスの交響曲ツィクルスの初日として、最初に「第2番」、次に「第1番」が演奏されたのだが、特に「第1番」は、最近ほとんど聴けなくなったような、良きドイツの伝統の美点がそのまま生かされた演奏だった気がして、私はすこぶる魅惑された次第である。

 弦楽器群には、往年のオトマール・スウィトナーの時代を思わせる、翳りがあってしかも柔らかな羽毛のような響きが漂っており、しかもそれに強い重心が加わっていた。その上、管楽器全体に満ちている陰翳の豊かさと来たら、たとえドイツのオーケストラであっても、近年ではほとんど聴けなくなった類のものであろう。それらに加え、全体に重厚で強靭な力感が漲っているとなれば、これはやはりドイツのオケでなくては出せない音楽である。
 時代遅れと言われようと、こういうスタイルを躊躇なくオーケストラから引き出し、誇示して見せるティーレマンという指揮者は、いまさら言うのもおかしいけれども、相当なサムライではある。

 しかもこの「1番」では、ティーレマンは━━近年は昔ほど見せなくなっていた━━「矯め」や「長いパウゼ」や「テンポの加速」を披露した。第4楽章の第1主題が出る直前(第61小節」のフェルマータの驚くべき長さといい、それにあと一つ、どこだったか━━多分再現部の第2主題に入る個所(第301小節)ではなかったかと記憶するが、animatoに変わる2拍目、スラーが切れるだけの個所に突然挿入された長い総休止の衝撃的な効果など、やってくれたなティーレマン━━という感だったのである。
 そして、この第4楽章のコーダでの昂揚感も、実に素晴らしかった。この「第1交響曲」に籠められたデモーニッシュな力を、余すところなく発揮したティーレマンとシュターツカペレ・ベルリンの快演であった。

 第1部で演奏された「第2交響曲」は、やや硬い音色で、音楽のエネルギーを強調したようなスタイルだったが、これは後半の「第1交響曲」の演奏との対比を狙ったアプローチだったのだろう。正直なところ私には、この「第2番」の演奏は、ティーレマンの指揮としてはごく普通の水準のものに感じられ、特段の感銘を得ないままに終った、と申し上げてしまおう。

コメント

ティーレマンの来日公演は、
鳴り物入りの初来日から全て
『ハテナ?』と外していましたが、
これ本日は確実に将来に聞くべき存在感を
認知しました。

賞賛すべくはオーケストラだと思います。
指揮者自体がユニバーサルに成り、
東欧のオーケストラの響きも、それに同調する現代に
この音を保有し続ける事は奇跡と考えます。

8日の三番と四番を聞きました。
三番では、ティーレマンの左手が小刻みに動き、
センシティブな感情表現を促していましたが、
音楽全体はブリリアントな曲奏でした。

P席LA側の端席で聞きました。
プルト間が詰まった楽器配置は、
音のこもりを感じましたが、
ビオラ郡の上に木管•金管が乗る事が、
ブラームスの音楽には大切で有る事を、
視覚的にも体感出来ました。
貴重で大変な体感です。

特筆すべきはティンパニー。
四番では、4種類ほどのバチを叩き分けていました。しかも柔らかい。
叩いた表面的な音ではなく、【響】としてハーモニーを支える、
その音を体感したのは初めてです。

三番の最後の和音が鳴り、
タクトが天井を差した瞬間の一叩きの響きが、
LA席の大理石に残響エコーの余韻として聞けた事は、
一生涯の思い出として残るでしょう。

12/8の公演(3番、4番)を鑑賞。3番は常識的なテンポ設定で、陰影に富んだ演奏。4番は一転、終始早めのテンポで、劇的な高揚に重点を置いた演奏。4番はきめ細やかに枯れた雰囲気で演奏されるとこが多いですが、これもアリかと納得してしまいます。
このオケはスイトナー時代のオペラ公演、バレンボイムのオペラ公演、ベートーヴェン・ブルックナーチクルス、と聴いていますが、同じ音色を保持しているのは驚異的です。現在はアジア系も含め他国籍の奏者が1/3以上を占めているにもかかわらずです。

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