2024-03

2022・12・13(火)エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団

       サントリーホール  7時

 桂冠指揮者エリアフ・インバルが、ウェーベルンの「管弦楽のための6つの小品」の1928年版(改訂版)と、ブルックナーの「交響曲第4番《ロマンティック》」の1874年版(第1稿)を指揮した。
 楽器編成は前者の方が大きいが、オーケストレーションの手法のためもあって、音楽の量感はほとんど同じというのが興味深い。

 ブルックナーの「第4交響曲」の、この「1874年第1稿」というのは、何度聴いても可笑しみを誘われる曲だ。
 形式もオーケストレーションもまことに雑然としていて、一体ブルックナーは何を考えていたのだろうと訝りたくなる気持にさせられる。もし彼がのちにこの曲を改訂していなかったら、この第1稿は後世の聴き手から問題にもされなかったことだろう。立派な改訂版がのちに生れているからこそ、第1稿は「ダイヤの原石」と呼ばれて興味を惹き、その荒々しい雑駁さが面白がられるというわけである。

 改訂された現行版の音楽があちこちに見え隠れしながら進んで行くこの版、今日の演奏も大変面白かった。インバルは例のごとくがっちりと均衡を保って、この纏まりのない全曲を引き締めた。矢部達哉をコンサートマスターとした東京都響も、豪壮な熱演だった。

 前半のウェーベルンの作品の方は、初稿が1909年頃のものゆえに、管弦楽編成を2巻編成規模に縮小したこの版においても、音響的にもすこぶる耳当たりのいい、重厚で暗い響きに満たされている。インバルと東京都響の密度の濃い演奏のためもあって、音楽上の充実感は、ブルックナーの初稿による「ロマンティック」よりも、この方がずっと強かったような気がする。

コメント

演奏は素晴らしかったけれど

いつも様々なレビューを楽しみに拝見しております。
このコンサート、私も伺いまして、演奏自体は大変良かったと思います。
が、散々場内アナウンスやチラシで注意喚起しているにも関わらず、補聴器のハウリングノイズが終演までどこからか延々と鳴り続けるという最悪の環境でした。(主にLサイド側への影響が酷かったようです)
運営側も苦心していたようですが、発生源の特定が難しく容易に対処出来ないようです。
また着けている本人にとっては日常生活を送るためには必要な道具であり、ハウリング発生には悪意も自覚も無い以上安易に責めるわけにはいきませんが、かと言ってこの高齢化社会では今後会場で多発するであろう問題です。
帰路、なんとも複雑な想いでした。

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