2024-03

2022・12・17(土)オレーフィチェ:オペラ「ショパン」日本初演

      東京文化会館小ホール  2時

 この「ショパン」なるオペラは、1901年に作曲され、1905年に初演されたものという。よくまあ、こんな珍しいオペラを探し出したものだ。
 作曲者ジャコモ・オレーフィチェ(1865~1922)は、ミラノ音楽院教授でもあった人で、少年時代のニーノ・ロータを見出して音楽院に入れてやった、というエピソードの持主でもある。

 ストーリーは、もちろんショパンが主人公だが、彼の伝記が語られているというわけではなく、彼自身と、彼を愛した女たちなどが、彼の故国の悲劇と併せて象徴的に、かつ幻想的に描かれる、という構成が採られたものだ。大詰めではショパンが栄光と賛美に包まれる━━という、お決まりのエンディングとなる。
 アングローロ・オリヴィエロによる台本はイタリア語だ(字幕付)。上演時間は正味2時間弱。

 音楽はすべてショパンの書いた音楽からなっており、その数およそ65曲。物語のシチュエーションに合わせていろいろな作品が断片的に引用されるという具合である。単なるメドレー形式とするわけではないのだから、これらをコラージュするだけでもかなりの才能を必要とするだろう。
 一つの作品を延々と引用するという愚はさすがに避けられているが、それでも「別れの曲」などはあのメロディの魅力ゆえか、かなり長い引用が行われていた。

 ━━それにしても、この「別れの曲」が二重唱で、歌詞をつけて歌われるのを聴くと、何かリチャード・ロジャースのミユージカルでも聴いているような錯覚に陥るからおかしなものだ。これは、クラシック音楽の器楽曲に歌詞をつけて歌うポップス音楽を聞いた時に起こる感覚と似たようなものだろう。
 ただしこのオペラ、流石にプッチーニの活躍した時代にイタリアの作曲家が作ったものだけあって、プッチーニ的な手法があちこちに顔を覗かせる。それもまた面白い。

 演出は岩田達宗が担当。出演は、ほぼ出ずっぱりで歌ったショパン役の山本康寛の他、佐藤美枝子、迫田美帆、寺田功治、田中大揮、藤原歌劇団合唱部。オーケストラ・パートは室内楽編成で、ピアノの松本和将、ヴァイオリンの篠原悠那、チェロの上村文乃が演奏。指揮は園田隆一郎だった。

コメント

昭和任侠伝

 残念ながら私は観ることはできなかったですが、東京のともだちが言うには、「開演前からショパンが流れていましたが、ショパンの曲をとても上手く使って(繋いで)いて歌に合わせても全く違和感ありません。美しく、そして感情に寄り添い、情熱的で、儚く...とても面白かったです」ということでした。
 ショパンはほぼ100%ピアノのために作品を書いた人で、声楽曲がほとんどないのは周知のこと、そもそも声楽とは親和性に乏しいピアノ曲に詞を付けるとどんな感じなんでしょうね。
 それで思い出したのは、むかし、土曜深夜に放送されていたタモリの番組「今夜は最高!」で、異才タレント、斉藤晴彦が和田アキ子らと共演した抱腹絶倒のコント、オペラ「昭和任侠伝」。およそ歌にはならない器楽のモチーフに無理遣り歌詞を付けて、くそ真面目にやるのが何とも可笑しかったです。ベートーヴェンの第5交響曲だとか、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番とかが次々に登場しました。1985年に放映され、同年のテレビ娯楽番組部門最優秀賞となった作品です。私もそう思うのですが、あれは放送史上に輝く"大傑作"。YouTubeには合法性に疑問はあるが映像もアップされています。
 そんなことを覚えているだけに、もしオペラ「ショパン」を観ていたら、斉藤晴彦、和田アキ子、タモリの顔が頭に浮かんできそう。笑い出さずに真面目に鑑賞できる自信はありません。

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