2024-02

2023・1・15(日)山響とその創立名誉指揮者、村川千秋・90歳

       やまぎん県民ホール  3時

 西宮へ日帰りした翌日、今度は山形へ日帰り。山形新幹線で片道2時間40分~2時間50分程度だから、コンサートを一つ取材して充分可能なスケジュールである。

 今日は山形交響楽団を、創立名誉指揮者で90歳を迎えた村川千秋が、得意のシベリウス(交響曲第3番)を指揮した。
 自ら設立して長年手塩にかけたオーケストラを振り、楽員と聴衆の熱狂的な拍手を受けて答礼していた村川にとっては、さぞ感慨深いものがあったろう。高齢ながら、足元は今なおしっかりして、指揮台の段差をものともせず、椅子も使わない。その身体の動きの機敏さには、感嘆させられるほどだ。

 指揮はもちろん明快で、オーケストラから引き出す音楽の強靭さにも驚かされる。中間楽章のテンポはやや遅めになったが、これはおそらく、彼の意図に基づくテンポなのだろう。終楽章におけるリズムの明確さと表情の厳しさなど、年齢を全く感じさせぬ素晴らしさであった。

 村川千秋と山響の演奏は、私もかなり以前から聴いていた。昔から彼の指揮するシベリウスには独特の味があったものだが、あの頃は随分ローカルな、鄙びた演奏だという印象を拭い切れなかった。それが近年のような深みとスケールの大きさとを感じさせる演奏となったのは、もちろん村川自身の円熟という理由もあるだろうが、もう一つ、今世紀に入ってからの音楽監督(現・桂冠指揮者)飯森範親の時代に形成された山響の機能的な水準の向上によるところも大きいのではないか。━━いろいろな意味で、感動的な「3番」であった。

 プログラムの前半には、ヴィヴァルディの「四季」が演奏されたが、ヴァイオリン・ソロとリーダーは辻彩奈、チェンバロは常任指揮者の阪哲朗が受け持つという豪華な布陣である。辻彩奈の切り込むように鮮やかなソロを先頭に展開されたこの「四季」の演奏、「夏」の第3楽章(嵐)での激しい音楽の沸騰には思わず息を呑まされた。

 昔のイ・ムジチのフェリクス・アーヨらの演奏によるような、田園的で開放的で平和な「四季」に比べ、現代の演奏に多く聴かれる「四季」は━━この辻彩奈の演奏もそうだが━━随分鮮烈な世界になったものだ。面白い。そして、「冬」の第2楽章でピッツィカートの上にソロ・ヴァイオリンが歌う素敵な個所には、今もなお、この曲の永遠の魅力といったものがあふれている。

 コンサートマスターは、首席コンサートマスターの犬伏亜里。

 余談だが、会場で配られていたアンケート用紙のタイトルが「村川千秋のスベリウス」となっていたのは、東北地方のオーケストラゆえに、実に愉快で傑作なジョークだ。もっとも、同じアンケート用紙には、「村川千秋のシベリウス」と、まともに印刷されていたのもあるので‥‥(前者は知人の朝日新聞編集委員がもらっていた用紙、後者は私がもらった用紙)。
 19時31分発の「つばさ」で帰京。

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