2024-02

2023・1・20(金)下野竜也指揮広島交響楽団「青ひげ公の城」

       広島文化学園HBGホール  6時45分

 下野竜也の音楽総監督としての任期も、ついに来年3月までとなった由。その彼がバルトークのオペラ「青ひげ公の城」を指揮するという定期なので、これは聴かずにはおけないと思い、他の予定と組み合わせて広島を訪れる。

 これは広響の1月定期。プログラムは、前半にコダーイの「ハーリ・ヤーノシュ」、後半に「青ひげ公の城」(演奏会形式上演、字幕付)。配役は、宮本益光(青ひげ)、石橋栄実(ユディット)、山岸玲音(前口上の吟遊詩人)。コンサートマスターは三上亮(首席客演)、生頼まゆみ(ツィンバロン)。字幕は森本覚。

 「ハーリ・ヤーノシュ」は、昔、ジョセフ・ローゼンストック(!)指揮N響の演奏で、旧NHKホール(内幸町のNHKにあった素晴らしい音響のホール)で初めて聴き、そのブリリアントでダイナミックな演奏と、曲の面白さに歓喜して以来、何度かナマで聴く機会もあった。が、今日の下野と広響の演奏ほど、シリアスな表情をしたこの曲に出逢ったことはない。ハーリの荒唐無稽の冒険談を、これほど真面目な語り口で再現した下野には、何か特別な意図でもあったのだろうか? 
 もっともそのおかげで、第3曲「歌」などのように、普段あまり注意を払わなかったコダーイの詩的な管弦楽法を再認識できる機会を得たのは事実だったが。

 「青ひげ公の城」は、やはり聴きものだった。下野の指揮は少し物々しいけれども、広響を濃密なアンサンブルで起伏大きく響かせ、この作品を巨大な絵巻物のように、大河のような悲劇の物語として聴かせてくれた。
 一つの頂点たる「第5の扉」(広大な領地)での増強された金管群はステージ最後方に配置され、また冒頭の吟遊詩人の前口上はステージ上手側に置かれたスクリーンに投映された映像により、演奏とのタイミングを合わせて再現されていた。映像演出も多少使われていた。とはいえ、「第5の扉」で客電を上げる(客席まで全部明るくする)というのは、些か白ける雰囲気であろう。これはあくまでステージの範囲内で行われるべきである。

 歌手陣では、石橋栄実が好演だった。宮本益光も━━決して悪いというのではないが━━青ひげ公のキャラクターには、もう少し重く暗い声のバリトンの方が適しているのではないかと思えるのだが、如何なものだろう。

 ともあれ、いい演奏だった。最近は都内のオーケストラも定期にオペラを取り上げることが少なくなっているが、その意味でも広響がこのような意欲的なプログラムを定期で組んでいることを讃えたい。

 なお、下野の任期が終る来年3月には2回の定期が組まれており、2日には次期シェフのクリスティアン・アルミンクがスメタナの「わが祖国」全曲を、8日には下野竜也が「音楽総監督ファイナル」として細川俊夫の「セレモニー」とブルックナーの「第8交響曲」を指揮することが発表されている。

 余談だが、場内アナウンスに、広響独特の「ヒューマンな、表情豊かで優しい」語り口のアナウンサーが今なお活躍しているのが嬉しい(他ホールでも少し見習ってもらいたいものだが━━まあ、無理か)。
 もうひとつ、プログラム冊子に広告が出ていたのだが、「ステーキ青ひげ」という店があるそうな。「青ひげ公の城」上演に因み、「本日から1か月間、当プログラムをお持ちいただいた方にはファーストドリンクを無料サービス」の由で、こういうところが地方都市の良さだ。

 8時45分終演。広島駅直結の「ホテルグランヴィア広島」に投宿。

コメント

広響さんの大阪公演!

創立60周年の広響さんの大阪公演が、6月11日にザ.シンフォニーホールで開催されるそうです。ヴァイオリン&コンマスが、フォルクハルト.シュトイデさん。プログラムは、ブラームスのヴァイオリン協奏曲と、ベートーヴェンの交響曲第7番。楽しみです!

シュトイデ

シュトイデは広島交響楽団にポストがあるのですね。初めて知りました。私も呉にはしょっちゅう行きましたが、彼は我々が行かないような島とか行っているようです。我々より詳しいかも。

bravo vpoさんへ

そうなんですよね。シュトイデさんは、広響さんの10年来のミュージック パートナーだそうですよ。島も、私達より詳しいかもですね!

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

























Since Sep.13.2007
今日までの訪問者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

・衛星デジタル音楽放送
ミュージックバード(エフエム東京系) 121ch THE CLASSIC
「エターナル・クラシック」
(毎週日曜日 12:00~16:00放送)出演

・雑誌「モーストリー・クラシック」に「東条碩夫の音楽巡礼記」
連載中