2024-03

2023・1・21(土)鈴木優人指揮京都市交響楽団 ロシア・プロ

       京都コンサートホール 大ホール  2時30分

 昼に新幹線で京都駅へ移動。地下鉄烏丸線の北山駅で下車、京都コンサートホールに入る。
 京響の1月定期に鈴木優人が客演し、プロコフィエフの「古典交響曲」、ストラヴィンスキーの「弦楽のための協奏曲ニ調」、ラフマニノフの「交響曲第2番」というプログラムを指揮するのが興味深い。コンサートマスターは会田莉凡。

 鈴木優人は、このところ、当たるを幸い薙ぎ倒すといった勢いでレパートリーを広げているが、もともと古楽系、バロック系の出自(?)の彼には、ストラヴィンスキーの「弦楽のための協奏曲」のような新古典主義作品ならともかく、ラフマニノフの交響曲のような傾向の作品にはどうなのかな、と思っていた。

 だが今日の演奏を聴いて驚き、感嘆したのは、この粘着系のロシアの作品をも、鈴木優人が彼自身のスタイルの中にすっぽりとそれを取り込んでしまい、清廉な音色の裡にラフマニノフの叙情性を余すところなく生かして、整然として美しい構築の「第2交響曲」をつくりあげていたことであった。

 こうした演奏は得てして無味乾燥で冷徹なラフマニノフを打ち立ててしまう危険性をはらむものだが、鈴木優人が京響から引き出した音楽は、決して冷たいものではない。むしろ、その透明な音色が、ラフマニノフの音楽に新鮮な感覚を導入し、予想していなかった美しさを生み出している、といった趣なのだ。従って、第4楽章の大詰め個所が忘我的な突進の興奮の裡に終る、といった類の演奏にならないのはもちろんだけれども、そこへ達するまでの音楽の流れが極めて自然であるために、物足りぬという印象を全く生まないのである。とにかくこれは、予想外の素晴らしい「ラフマ2」であった。

 「弦楽のための協奏曲」では、作品本来の性格と、おそらく鈴木優人のバロック的な感性(?)とが合致していたのかもしれない。それに加え、京響の弦の良さが十全に生きていた。少し神秘的でスケルツォ的な第3楽章など、すこぶるリズミカルで躍動的で、快い演奏だったことを特記しておきたい。

 一方、「古典交響曲」では第1楽章のアレグロが不思議に遅いテンポで演奏されたために、この曲の持つエスプリが多少薄められたかと思わないでもなかったが、京響の弦の音色の爽やかさがここでも存分に発揮され、快い印象を生んだことは事実であった。
 どの曲においても鈴木優人は音楽を緻密に丁寧に、一つ一つの音にも神経を行き届かせて構築していたことが好印象を呼ぶ。そして演奏の、この上ない流れの良さ━━これこそは彼の指揮の身上であろう。

 終演後、JRで大津へ移動。明朝9時45分開始の(早い!早すぎる!)びわ湖ホールの「マイスタージンガー」入門講座第2回に備え、琵琶湖ホテルに入る。

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