2024-03

2023・1・27(金)チョン・ミョンフン指揮東京フィル

       サントリーホール  7時

 名誉音楽監督チョン・ミョンフンが、シューベルトの「未完成交響曲」と、ブルックナーの「交響曲第7番」(ノーヴァク版)を指揮。コンサートマスターは三浦章宏。

 チョン・ミョンフンと東京フィルの定期は、この1~2年、ブラームスの交響曲全曲、ドビュッシーの「海」などのフランス・プロ、ヴェルディの「ファルスタッフ」など、快演、豪演の連続だ。これらの一連の演奏を聴いていると、現在の東京フィルが最も信頼し、「ついて行ける指揮者」の筆頭格として挙げられるのが、このチョン・ミョンフンであるということは容易に想像がつくだろう。

 今日の演奏会は、東京フィル独特の「オペラシティ、サントリー、オーチャード3会場定期」の2日目。
 「未完成交響曲」は整然とした構築の裡に静かな叙情と毅然たる表情を湛えた演奏で、オーボエとクラリネットのソロが美しい。

 ブルックナーの「7番」は、このところ━━ナマでの話だが━━不思議によく「流行る」。2010年に首都圏で「8番」が7連発された時ほどではないにしても、とにかく演奏される機会が多い。私も、3日前にも尾高&大フィルの演奏をこのホールで聴いたばかりなので、どうしても比較しながら聴いてしまうことになるだろう。

 今日はノーヴァク版による演奏で、第2楽章の頂点ではティンパニ、シンバル、トライアングルなど打楽器陣も参加するほか、第4楽章ではスコアの指定に従って、テンポの細かい動きも聴かれる。
 第1楽章では何となくオーケストラに自由な動き(?)があったが、第2楽章以降ではがっしりとした揺るぎない構築が甦り、特に第3楽章は凄絶な厳しい推進力に満たされて、息を呑むほどの緊迫感を生んだ。

 第4楽章では、ノーヴァク版独特の揺れ動くテンポをチョンが見事に再現してくれていたため、とかくだらだらとした流れになりかねないこの楽章が見事に引き締められていたのは事実だろう。ただ、第1楽章のコーダでもそうだったが、終楽章のコーダでもアッチェルランドをかけるのは、曲の威厳と風格が損ねられるような感を生み、私にはどうしても納得が行かない。だがまあ、こういうところが、チョン・ミョンフンの人間的な感情の動きを表わすものかもしれない。

 今日の東京フィルの音色は全体に明るく温かく、先日の大阪フィルの清冽な響きと好対照をなしていた。そして和声感の豊かさも━━低音弦の鳴りもよかったので━━今日のチョン&東京フィルの演奏の方に強く感じられた。

 新聞で、感染症対策のため禁じられていた「イヴェントでの大声の緩和」が報じられたせいか、今日はブラヴォーの声も少なからず飛んだ。私は(自分では出さないが)ブラヴォーの声は好きだから歓迎したい。だが、フライング・ブラヴォーまで復活するのはうんざりする。今日のLA席あたりにいた御仁、出しゃばり過ぎる。

コメント

オペラシティで鑑賞。脱力・自然体の指揮で、曲の良さを隅々まで引き出してくれました。東フィルは定期では底力を発揮しますね。弦楽器は内声部も含め、厚みがあり、金管は危なげなく重厚。古田さんのTpも強力、高橋さんのHrは最後までスタミナ切れせず、在京オケでここまでキッチリと吹いたHrは聴いたことがありません。本来のブルックナーサウンドとはとは違うという批判もあるかもしれませんが、素晴らしい。

ブラヴオー解禁!

長い間の沈黙から、やっと解禁になりましたね。私、いつも叫んでいましたので、この緩和は嬉しいです。フライングには気をつけようと思います。

ブルックナーの「7番」は「流行」ってますね!

今年も年初から素晴らしい記事をありがとうございます。先生仰る通り、ブルックナーの「7番」は「流行」ってますね。
12月のティーレマン!
1月の大フィル東フィル対決!!←今回
2月の原由莉子のピアノリサイタルを経て
3月の山響と仙台フィルの「飯もり」対決!!!
しかも飯守先生の仙台での最終公演はティーレマン同様トリスタンとの組み合わせ!!!!
と充実した内容が続いていくことは、この曲のファンとしては嬉しい限りです。

12月のティーレマンは別格としても、先生の尾高大フィル9番の評を読み返しながら期待を胸に1月決戦に馳せ参じましたが、私個人としては、今回は甲乙つけ難い演奏だったように感じました。両団とも何よりホルンが秀逸だったほか(某本邦トップオケより安心感があります!)内声部の充実も(肌感は違いますが)聞きごたえがありました。

最後にフライング・ブラヴォーの件、先生にコメントいただき溜飲が下がる思いです。サントリーに加え、オーチャードでも両曲へのフラブラがありました。他のオケでは「指揮者がタクトを下すまで。。。」というアナウンスはじめ工夫して対応する中、東フィルさんももう一歩踏み込んでは、と休憩時間に事務局へもお話ししたところだったのですが、、、先生のような影響力のある方からのコメントが何より効果的ではないかと思った次第です。

その昔、晩年のヨッフムがアムステルダム・コンセルトヘボウ管でブル7を振ったとき(昭和女子大人見記念講堂だったか)、フライングブラボーで台無しにされたことを苦々しく思い出しました。
映像にも残っていましたが、予期せぬ怒号に巨匠は「心臓が止まるかと思った」とでも言うように胸のあたりを押さえ、コンマスも「参りましたね」と応じるかのように苦笑いを浮かべていました。(ああ、恥ずかしい……。)
その後に発売されたライブCDでは、フラブラを切るために余韻の全くない、極めて不自然な終わり方となっており、演奏自体はとても素晴らしかっただけに、約40年近く経た今でもなお、腹が立ちます。
音楽の種類にもよるでしょうが、よりによってブルックナーでフラブラするというセンスのない輩には、演奏会に足を運んでほしくありません。
3月の飯守さんを聴きに行く予定ですが、フラブラ野郎を見つけたら叩きのめすかもしれません。(そういう事態は本来は望まないのですが。)

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