2024-03

2023・2・4(土)芥川龍之介の作品によるオペラ
デヴィッド・ラング作曲「Note to a friend」日本初演

      東京文化会館小ホール  3時

 日本の文豪の作品がオペラになった一例。
 これはニューヨークの「ジャパン・ソサエティー」と東京文化会館の共同委嘱により、現代作曲家デヴィッド・ラングが作曲した1時間程度の長さのオペラで、去る1月12日にニューヨークで世界初演されたもの。芥川龍之介の「或旧友へ送る手記」「点鬼簿」「藪の中」を素材に、ラング自身が台本も書いた。

 今回の日本初演では、セオ・ブレックマン(ヴォーカル)とサイラス・モシュレフィ(演技のみ)が出演、笈田ヨシが演出、ステージ・デザインをトム・シェンクが担当。英語上演で、日本語字幕付。演奏はヴァイオリンの成田達輝と関朋岳、ヴィオラの田原綾子、チェロの上村文乃という顔ぶれであった。

 もともと小さいステージだが、演技空間はその前面のみに限られ、日常的な小道具のある部屋でブレックマンが「死んだ男」として登場し歌い、モシュレフィが聞き役に回る。
 登場人物に名前はないが、話されることは専ら「自死」についてであり、それをめぐって「自分」の家族についても話が及ぶ。諸々指摘される通り、考えさせられるところの多い深遠な内容であることは確かだが、ただしそれは聴き手の年齢によって受容の仕方も異なって来るのも事実なのだ。

 弦楽四重奏は背景に位置しており、客席からは見えないが、そこから響いて来るラングの鋭角的ながら耳馴染みの悪くない音楽は、すこぶる印象深いものがある。ヴォーカルは最後まで独りだから、事実上のモノ・オペラということになり、このジャンルにまた一つ注目作が加わったと言っても間違いではなかろう。

 それにしても、日本の文豪の作品をオペラ化するにあたり、このような深淵な思索的な素材が選ばれるというところが興味深いが、それはやはり「東洋の神秘」という昔からのイメージの名残か? いずれにせよ、悪いことではない。

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