2024-03

2023・2・13(月)鈴木秀美指揮神戸市室内管弦楽団東京公演

      紀尾井ホール  7時

 神戸文化ホールを拠点とする神戸市室内管弦楽団が、一昨年から音楽監督を務めている鈴木秀美とともに、このコンビとしては初めての東京公演を開催した。

 このオーケストラの演奏は、その神戸文化ホールで2回聴いたことがある(☞2021年9月25日、☞2021年12月12日)。
 ただそれらは、いずれも残響ゼロに近い中ホールにおいてだったため、オーケストラの真価を今一つ掴みかねていた(現在は大ホールに定期の会場を移している由)のだが、今回は室内オケに向いている紀尾井ホールで聴けたおかげで、響きにも厚みと明るさが加わっていて、このオーケストラをいっそう活力に富んだ団体として受容することができた次第である。コンサートマスターは高木和弘。

 今回のプログラムは、前半にモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」と、同じくセレナーデの「ナハトムジーク ハ短調」、後半にシュニトケの「モーツ・アルト・ア・ラ・ハイドン」およびプロコフィエフの「古典交響曲」という不思議な選曲だった(演奏会タイトルは「音の謎かけ」となっている)。

 つまり、まずは弦楽合奏(指揮者なし、鈴木秀美はチェロのトップを弾く)と、管楽合奏(鈴木秀美指揮)の曲を置き、このオーケストラの各々のパートの良さを誇示するといった趣かと思われる。2曲とも演奏がすこぶる瑞々しく、聴き手を安らかな気持に誘うという良さをも溢れさせていた。

 後半は、いずれも鈴木秀美が指揮。再びの弦楽合奏によるシュニトケでは、ヴァイオリンの高木和弘と森岡聡を中心に、奏者たちも立ち位置を移動したり、また照明演出も加えたりするなどの趣向も加え、この曲を面白く聴かせてくれた。
 そして最後がフル編成による「古典交響曲」━━このアンサンブルについては多少の異論もなくはなかったものの、極めて音色も明るく、爽やかな雰囲気満載の演奏で、このオーケストラが持つ活気を充分に感じさせたことは確かである。

 アンコールは、ハイドンの「交響曲第62番」の第2楽章で、この曲を取り上げた理由はマエストロからあれこれ説明があったけれども、何だかよく解らない。

 総じて、指揮者と楽員とが和気藹々として、一体となって活動しているという雰囲気が感じられる、あたたかい演奏会であった。ティンパニ奏者として懐かしい菅原淳さんの顔が見え、「古典交響曲」第4楽章で小気味よいリズムを聴かせてくれたことも嬉しい。
 室内管弦楽団は全国にも数多いが、このように鈴木秀美をシェフに迎え、また事務局の運営体制も強化して活動の規模を拡大しつつある楽団が一つ加わって来たのは、本当にうれしいことである。

 なお、終演後に事務局からもらった「シーズンブック」には、年間の公演予定だけでなく、楽員の写真入り紹介、そして鈴木秀美音楽監督による「神戸市室内管弦楽団が使用する楽器について」というコラムも掲載されていた。こういう資料を、プログラムと一緒に聴衆に配布すれば、東京に未だ馴染みのない神戸のオーケストラへの関心ももっと深まるだろうに、と思う。

コメント

神戸市の事情により

東京公演の2日前に神戸文化ホール大ホールでの定期演奏会に行きました。中ホールの残響はおっしゃるようにほぼゼロ。しかし大ホールの音響もややマシという程度で、2000人収容の大きな空間はデッドなので、この楽団の良さはでません。神戸文化ホールにほど近いJR神戸駅には、席数700の松方ホールという素晴らしい音響のホールがあるのですが、「大人の事情」によってなのか、ここは使われません。神戸市は新たに、席数2000の大きな音楽ホールを三宮につくり、ここに神戸市室内管弦楽団の本拠地を移したいようですが、三宮にはすでに同規模の神戸国際会館があります。神戸国際会館も音響の良いホールで、今すぐにでも定期演奏会をここでやれば、神戸文化ホールの貧弱な音響で音楽をきくよりもはるかにいいのです。大阪フィルの神戸公演は神戸国際会館で行われます。神戸市は、東京に遠征して知名度をあげる前に、地元で取り組むべきことがあるように思えて仕方ありません。鈴木秀美さんが指揮者として戻ってからのこの楽団の演奏は、どこに出しても恥ずかしくないものです。残念でなりません。

御礼

おいで頂き、また書いて下さって有難うございました。
シュニトケの「趣向」は全てスコアに指示されたままで加えも減らしもしていません。
後から決まった東京公演でやむを得ずのプログラムでしたが、皆さんに喜んでいただけたようでホッとしています。
神戸の大ホールも大したことはありませんがどうぞまたお出かけ下さい。

やるべきこと~

 小生の場合、この楽団を本拠地で聴く時は、前の方で聴くので、響き云々は、普段、気にならないのだが、松方ホールや国際会館は運営主体が市や県でないので、会場の使用料は基本的に高くついてしまうだろう。神戸市の財政状況も震災から二、三十年たったとは言え、コロナ、物価高騰の中、十分な余裕とまでは行かないのではないだろうか。むしろ、管楽器奏者を定着させ、鈴木氏を迎え、内容の増進に成功していること自体、やるべきことはできていると小生は考える。また、この楽団は時々、松方でも演奏会は開催しており(3月は合唱団がここで演奏。)、プログラムや編成によっては国際ホールの広さ、響きが合わないことも考えられる。新長田や住吉のホールで演奏することも多く、多くの学校公演や企画公演なども他団体とくらべても遜色なく、地元への貢献も大きいと思われる。素人考えで恐縮だが、今後も地元、社会に根差し、経済、財政状況を良く見据えながらの順調な発展を願いたい。

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