2024-02

2023・3・9(木)河村尚子 サントリー音楽賞受賞記念コンサート

      サントリーホール小ホール ブルーローズ  7時

 第51回サントリー音楽賞を贈られた河村尚子の記念コンサート。「室内楽」と「協奏曲」の2回にわたって行われるが、今日はその「室内楽」の方。
 最初に彼女が矢代秋雄の「ピアノ・ソナタ」を演奏し、次にドーリック弦楽四重奏団(英国)のメンバーとの協演でレベッカ・クラークの「ピアノ三重奏曲」を、休憩後に四重奏団とシューマンの「ピアノ五重奏曲」を演奏した。

 矢代の「ソナタ」は1961年の作で、ベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア・ソナタ」に影響を受けて書かれたとのこと。曲の出だしなど「影響を受けた」どころか、まさにそれをモデルにして書かれた感があって面白い。
 それはともかく、河村尚子が描き出したこの曲は何と表情が鮮烈で激烈で、しかも音色が些かも混濁せず、清冽に響いていたことか。特に第3楽章での曲の流れの構築の明快さには、舌を巻かされるほどだった。これ1曲で既に、最近の彼女のいっそうの成長が疑いないものであることが証明されたように思われる。

 イングランド出身の女性作曲家レベッカ・クラーク(1886~1979)の「三重奏曲」は、私は今回初めて聴いたのだが、これまた驚くべき強靭な気魄に満ちた作品である。1921年の作というから━━35歳の作ということ? 第3楽章では何となくアルメニアあたりの民謡みたいな主題が出て来るが、その辺の経緯については私には判らない。しかし第2楽章での沈潜した美しさは絶品で、この女性作曲家の並々ならぬ才能を感じ取ることができた。
 この楽章での河村尚子とアレックス・レディントン(第1ヴァイオリン)の深々とした演奏にも心を打たれる。

 実はこの2曲がなんとも鮮烈で、印象も強烈だったので、そのあとのシューマンの「五重奏曲」が何故かえらく地味なものに聞こえてしまい━━いや、もちろん卓越した演奏に違いなかったのだが。

 アンコールには、その「五重奏曲」の第2楽章の中の、現在の出版譜には載っていない、クララ・シューマンの提言によりカットされた短い部分(河村さん自らの説明による)が演奏された。言っちゃ何だが、これは確かに、クララの勝ちだったであろう。
 最後に第3楽章がもう一度演奏されて、コンサートは終った。ホールは文字通りぎっしり満員、という感であった。

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