2024-03

2023・3・18(土)大植英次指揮新日本フィルハーモニー交響楽団

       すみだトリフォニーホール  2時

 仙台は天気予報が当たり、朝から小雪が舞っていて、猛烈に寒い。10時31分の「はやぶさ」で帰京。東京は強い雨だ。品川駅近くの駐車場に預けておいた自分のクルマにキャリー・バッグなど邪魔な荷物を積み込み、錦糸町へ向かう。

 こちらは新日本フィルの「すみだクラシックへの扉」の2日目。大植英次の客演指揮で、最初に新日本フィル創立50周年記念委嘱作品、小曽根真作曲の「ピアノ協奏曲《SUMIDA》(ピアノ:小曽根真、ベース:小川晋平、ドラムス:きたい くにと)が演奏され、第2部ではワーグナーの「ローエングリン」からの「エルザの大聖堂への行進」(編曲版)と、ブルックナーの「交響曲第9番」が演奏された。コンサートマスターは崔文洙。

 小曽根真の新作は、演奏時間も30分を超える力作で、プログラム冊子掲載の小室敬幸さんの解説によれば、第1部では下総国と武蔵国が、第2部では復興と再生が描かれているとのこと。だが私にはやはり、小曽根のピアノと、トリオともいうべき3人によるジャズのパートが、最も魅力的なものに感じられた。小曽根がアンコールで弾いた叙情的な小品(「Asian Dream」の由)も美しい。

 ブルックナーの「第9交響曲」は、まさに大植の「入魂の演奏」だったのではないか。
 第1楽章は非常に遅いテンポではあったが、スコアの冒頭にある「Feierlich,Misterioso」(厳かに、神秘的に)という指定が、その序奏だけでなく、同楽章全体にわたって徹底して貫かれ、それによりこの楽章が荒々しい嵐の起伏ではなく、滔々たる大河の流れにも似た壮大な世界として描き出されていたことに、改めて感じ入った次第である。彼がよく口にする「全部スコアの指定通りにやったんだよ」という言葉が、今回も聞こえて来そうな気がする。

 この日の演奏の圧巻は第3楽章。そこで彼がオーケストラから引き出した深沈たる音楽は、私がこれまで30年以上にわたって聴いて来た大植英次の指揮の中でも一、二を争う出来のものではなかったか、という気がする。

 この曲での新日本フィルの演奏も、久しぶりに聴く素晴らしさだった。たとえば第1楽章での、内声部の━━特に中低音域の━━動きの明確な響きは、ブルックナーが晩年に到達した精緻な管弦楽法の妙味を見事に再現していただろう。そして特に第3楽章における弦楽器群の陰翳豊かな、情感に富んだ音色と表情の良さ。
 これで最後の最後、4小節間の全音符で長く延ばされたホルンの最後の4分音符での、ほんのわずかな「揺れ」さえなかったら━━。これがナマの演奏会の宿命だ。だがあの4分音符、素人目には、ちょっと延ばし過ぎではなかったのか、という気がするのだが如何。

 終演後、錦糸町から上野へ向かう。

コメント

ブルックナー第9交響曲

お疲れ様です。
私は初日でしたが、東条先生仰る通りの演奏で、この曲はものすごい曲だったのだと、改めて感じ入った次第。来年にわたりいろいろブルックナーを聴けるだろうが、人生の記念としたい。

私は16日にリハーサルを聞き、翌日に本番を聞きました。
大植さんの指揮を聞くのは2005年の大フィルとのマーラー6番以来で、リハーサルでは「こんなに緻密に指揮される方だったか」と思いました。本番は緻密さ、力強さ、そして情感溢れる素晴らしい演奏でした。
新日フィルはこのところ調子を上げていると思っていましたが、一層それを感じました。
演奏された皆さんに感謝です。

リハーサルを見ましたが、弦楽器の後ろ半分だけを弾かせて確認していました。

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