2024-03

2023・3・18(土)東京・春・音楽祭
リッカルド・ムーティによる「仮面舞踏会」作品解説

      東京文化会館大ホール  7時

 恒例の上野の「東京・春・音楽祭」が今日開幕。その一環、「イタリア・オペラ・アカデミーin東京」の初日。
 呼びもののムーティ指揮するヴェルディのオペラは、今年は「仮面舞踏会」だ。その初日として、ムーティ自らが作品について解説する一夜が設けられている。

 「解説」と言っても、今回は東京春祭オーケストラ(コンサートマスターは長原幸太)をステージ上に配置し、ムーティが自ら曲について解説したり、ヴェルディのオペラの演奏スタイルについて語ったりしながら、しかも自ら歌いながら指揮して公開リハーサルを行なう、といったような形になっている。
 何しろムーティの話の面白さ、声の良さ、指導の明快さは天下一品だから、魅力抜群の「解説付き演奏会」と言ってもいいだろう。

 話の内容には、以前のこの「講座」でも語られたようなこと━━ヴェルディのオペラがふだん如何に歪められて演奏されることが多いか、スコアに無い誇張を歌手や指揮者が勝手に行なっていることが如何に多いか、そして自分が如何にその悪しき風習と戦い続けて来たか、などといったことも含まれていたが、これらをユーモアをも交えて語るムーティの話術の見事さは相変わらずである。
 なお彼の話は聴衆全員に配布されたレシーバーで同時通訳により伝えられていた。イタリア語と英語がチャンポンに使われるのだが、通訳はイタリア語だけは見事に訳してくれるけれども、英語の部分は完全にスルーしてしまうというのはちょっと問題だ。

 それにしても、彼の指揮でまとめられて行った「仮面舞踏会」の音楽の、何と素晴らしいこと。前奏曲ひとつとっても、これだけ登場人物の性格表現をすべて織り込んだ感のある、表情豊かな表現を以って演奏された例を、かつて聴いたことがない。
 今日はオーケストラだけのリハーサル(歌はムーティ自身が受け持つ)だったが、ヴェルディのオペラのオーケストラが如何に雄弁で素晴らしいものであるかを、改めて教えられるような「演奏会」であった。

 本番は28日と30日に、アカデミー生たちによる本番は4月1日に行われるが、これらは絶対聞き逃せぬという気になる。
 休憩なしの2時間、濃密の極みのアカデミー初日。

コメント

こんにちは。いつも楽しくレビュー拝見しております。
私も客席で聴いていましたが、お書きになった内容で気になったことが一つ。
「通訳はイタリア語だけは見事に訳してくれるけれども、英語の部分は完全にスルーしてしまうというのはちょっと問題だ。」
とあるのですが、スルーするのは当たり前です。
伊日通訳者さんなのですから英日通訳はやりません。

いわゆるアテンド通訳・ウィスパリング通訳では両言語出来る方が対応する場合もありますが、大会場でのレシーバー通訳では通訳者さんの負荷が大きいため、各言語ペアごとにそれぞれ複数名アサインし、目安15分交代で通訳する(加えて事前に原稿を渡しておく)のが普通です。
途中から原稿無し、英語混じりで即興性溢れたあのリハーサルを通訳された方は、悪条件の中で大健闘されたと思います。

通訳する側の事情は一般的には知られていないことだと思いますが、影響力のある方の記事ですので一般の方々に誤解が生じないように、という意図でコメントを入れさせて頂きます。

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