2024-02

2023・3・19(日)沼尻竜典指揮京都市交響楽団 マーラー6番

      滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール  2時

 沼尻と京響によるびわ湖ホールのマーラー・シリーズ、今回は「交響曲第6番《悲劇的》」で、これが沼尻竜典のびわ湖ホール芸術監督としての最後の公演になる。
 フィナーレのプログラムが「悲劇的」とは、何とも派手なシャレだが、とにかく「栄光に包まれて」退任する沼尻芸術監督には、満腔の賛辞を捧げたい。もっとも、この8月26日には、彼はまた京響とここでこのシリーズの続きの「第7番《夜の歌》」を演奏することになっているのだが。

 それはともかく、今日の「6番」は、沼尻も京響も、全身全霊を籠めた入魂の快演であった。特に第3楽章(アンダンテ)と第4楽章とは、私がこれまでナマで聴いた同曲の演奏の中でも屈指の名演だったと言えよう。
 第3楽章では、沼尻の自然で伸びやかな叙情性が、底光りのするような美しさと陶酔感を醸し出す。

 第4楽章は、所謂マーラーの私小説的な、力を振り絞って立ち上がろうとしてはハンマー(運命)の一撃に打ち倒されるという標題音楽的な表現よりもむしろ、明と暗の音楽が入り乱れて交錯しつつ、怒涛の如く全てを席巻して行くといった音楽となっていたが、それがまた一種の新鮮さ、爽やかさを感じさせ、心地よい後味を残すことになる。

 そしてまた、その指揮を受ける京都市響の上手さと言ったら! 特にホルンとトランペットの素晴らしさは、傑出していただろう。オーケストラの中から何度か轟然と巻き起こるホルン群の咆哮は、その都度、デモーニッシュな迫力を感じさせたのだった。

 このびわ湖ホールのステージでオーケストラの演奏を聴く機会は私にはこれまであまりなかったのだが、その響きのバランスの良さには感心した。京響が巧いからでもあろうが、例えば第4楽章のオーケストラの怒号の中で、下手側のチェレスタの向こう側に配置されていた2台のハープのグリッサンドがこれほどはっきりと聞こえ、オーケストラに柔らかい音色を与えているのが聞こえたのは、これが初めてであった。石田泰尚をコンサートマスターとする弦のアンサンブルも鮮やかである。

 なお、第4楽章のハンマーは、現行版の楽譜通りの2回。膂力勝れて逞しい男性奏者がやるのかと思いきや、ほっそりした女性奏者が力強くハンマーを振り上げ、豪快に打ち下ろしたのには、何故か感心させられてしまった。

 ロビーから観る琵琶湖が、快晴の空に映えて美しい。今日は日帰り。

コメント

びわ湖ホールと京都コンサートホール

びわ湖ホールは地元なので何度も足を運びましたが、とてもよく出来たホールだと思います。オペラ劇場としても声がよく通りますし、オケピからの音もまずまずです。
コンサートホールとしても響きがよく、フォルテシモでも心地よいです。

京都市交響楽団が本拠地にしている京都コンサートホールは、完全に出来損ないです。
私は大ホール、小ホールともにアマオケの指揮をしたことがありますが、大ホールでは指揮台で聴いても、音がどこかに吸い取られる感じで、オケが鳴らなくていらいらします。3階正面で聴くとよく鳴りますが、フォルテシモでは音が団子になります。下手すると耳が飽和するほど大音響になりますが、こうなると音楽の域を超えます。
小ホールに至っては残響ゼロです。第一ヴァイオリンの3プルトあたりでは、ほかのパートがまるで聞こえず、どこに合わせたらいいのかわからないと苦情が出ていました。
プロの楽員さんはどのように感じておられるのか聞いてみたいです。

どなたかもコメントしておられましたが、京響は広上さんと沼尻さんの下で飛躍的に力をつけたというのは、全く同感です。

素晴らしい演奏でしたが・・・

マーラー6番と言えば、2013年11月のインバル指揮都響(みなとみらい)の名演が忘れられないのですが、今回の演奏は、金管の安定感を含む完成度の高さ、日本のオケの演奏でしばしばあるスタミナ切れも感じられなかったことなど、それを凌駕する素晴らしいものでした。しかしながら、フィナーレ一番最後のところで会場に響き渡った電子音によって、かなり興がそがれる結果となってしまいました。

長い時間鳴っており、usherの女性が音が聞こえる方にあわてて移動していたので、おそらく音源を有していた聴衆は特定されたことでしょう。その人が、終演後、ボコボコにされ、琵琶湖に沈められていないことを祈ります(笑)。

とても良い演奏会でした。先生がおっしゃる通り、ホルン群が素晴らしかった。特に首席氏は、日本でも屈指の名人だと思います。広上さんがここぞと言う公演では、彼をよく取り立てるようなプログラム組みをされる事もおそらくあったかと思います。
この間、フェドセーエフとN響による近畿圏と広島の旅公演がありました。その初日の兵庫公演を私は聴きましたが、そのホルンには頭が痛くなりました。友人が聴いた堺公演もかなりまずかったらしい。なお、Mo.フェドセーエフの音楽には手を合わせるくらい大感激しました。余談です。
びわ湖ホールでのシンフォニー公演、私、結構好きです。ウィーンフィルはいろいろなホールで聴いていますが、ここで聴いたのがとても良かった印象があります。指揮はティーレマン。一級の同じオケながら、こんなにもホールによって音色が異なって味わえるものか、と。
京都コンサートホールの音響を叩いて通ぶるのは昔からあったわけですが、今なおあるのを久しぶりに見て微笑ましく思いました。
ハイティンクとロンドン響や、ブロムシュテットとバンベルク響による見事にホールの「特性」を生かした圧倒的な演奏を聴いたら、もうそんな事思いもしないでしょう。広上さんと京響も、すり鉢状の組方をしてからはさらによい響を作ってます。某邦人著名指揮者が文句を言われていますが、要するに能力・力量の問題でしょう(笑)
他のホールにはない、独特の透明な響を持つのが京都コンサートホール(KCH)の特徴。

別に通ぶっているつもりはないですが(苦笑)。
広上さんが雛壇をすり鉢状にして、がらりと音がよくなったのは承知しています。それぐらい工夫がいるホールだということです。
1982年にザ・シンフォニーホールができて、ホールはそれ自体楽器なのだと衝撃を受けてから、20年経ってもまだこれかと、地元民としてはいささか落胆していたというのが本当のところです。まあ、年寄りの繰り言と聞き流して下さい。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

























Since Sep.13.2007
今日までの訪問者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

・衛星デジタル音楽放送
ミュージックバード(エフエム東京系) 121ch THE CLASSIC
「エターナル・クラシック」
(毎週日曜日 12:00~16:00放送)出演

・雑誌「モーストリー・クラシック」に「東条碩夫の音楽巡礼記」
連載中