2024-02

2023・3・25(土)上岡敏之と新日本フィルのブルックナー「8番」

      すみだトリフォニーホール  2時

 第4代音楽監督(2016~2021年)の上岡敏之が客演、ブルックナーの「交響曲第8番」(ハース版)を指揮した。コンサートマスターは崔文洙。

 新日本フィルから久しぶりに聴く壮大な音である。第1楽章、全管弦楽が初めてffで爆発した瞬間から、アルプスあたりの巨大な山脈の容を連想させられるような、壮大な気宇が演奏に漲っている。
 上岡の指揮もいつもながら曲の隅々まで神経を行き届かせたもので、第1楽章も終結に近い390小節前後、最後の最強奏のあとに長い緊張感をもった総休止をおき、感情の昂揚の意味を自らじっくりと問い直すといったような時間をつくり出すなど、細かい設計に富んだ指揮を聴かせてくれた。第2楽章での同一音型を執拗に反復しつつ頂点へ追い込んで行く個所なども、すこぶる迫力に富んだものになっていた。

 新日本フィルも好演したが、特に後半、アンサンブルが些か粗くなってしまったような感がなくもない。先日の大植英次との協演の際にはあれほどの均衡の美を生み出していたのに、残念である。
 これは昨年10月の演奏会の際にも見られた現象でもあるが、新日本フィルのようなオーケストラの場合、上岡敏之のような個性を持った指揮者と組む時には、やはりある期間継続して共同作業を行わないとその成果が表れて来ない、ということがありそうだ。かつて上岡が音楽監督だった頃には、両者が実に呼吸の合った演奏を聴かせてくれた時期もあったのである。

 今日の演奏時間は88分ほど。遅めではあるが、まず普通のテンポの範疇に属する。会場は上岡ファンでいっぱいのように見えた。

コメント

本公演は行きませんでしたが、以前ヴッパタール交響楽団との公演で7番を聴きましたが、テンポがとても遅くて、辟易した記憶があります。
初めの武蔵野市民文化会館大ホールの公演は、残響が短く音響も良くないため、ホールの音響面から冗長に感じたのかと思いましたが、後日みなとみらいホールでも同じく冗長に感じました。
R.シュトラウス、ベートーヴェンでは快活でしたのに…。
遅いテンポでもチェリビダッケとは大分違うな、と思いました。以来上岡さんのコンサートはあまり行っていません。
室内楽で極たまに聴く程度です。

美しい音色のブルックナー

東条先生の評論も、上岡の指揮同様、神経の行き届いたもので、読みごたえがありました。
演奏は音色の美しさが際立ったもので、同一音型のフレージングなど、天下のブルックナー指揮者でも出来ないだろうと思わせたすこぶる音楽的なもの。新音楽監督は、「音色がすべて」と言っていたから、オケはここで一つの答えを出しました。

素晴らしい新日本フィル

今月の新日本フィルはメッツマッハー、アルミンク、上岡さんと、この二十年間のシェフが週替わりで登場する総集編。全て聴きたくて三回東京に遠征しました。個性の違う三者三様の素晴らしいfarewellコンサートだったと思います。かつて山本直純さんや朝比奈隆さんが夢見、実現に努力したオーケストラの在り方が、この二十年間にすみだで現実のものになってきたのを目の当たりに出来たように思います。すみだに新日本フィルがあるおかげで日本全体の音楽文化がどれだけ豊かになっているか計り知れないものがあります。N響、読響、都響、東響などが持っていないものをこのオーケストラは持っています。批判に臆せず進んでほしいです。上岡さんのブルックナー、本当に素晴らしかったです。

上岡氏のブルックナーは2018年の9番以来で、8番が特に好きなので待望でした。
以前は弱音にこだわり過ぎて強音が弱くなるように思いましたが、今回は金管が安定していて素晴らしい全合奏でした。
弦楽器群がよくそろい美しく、特に力を増したチェロ、明瞭に聞こえてハッとしたヴィオラパートがありました。
長いパウゼが絶妙でしたが、そうした個々のことを超えて指揮者、オケの強い集中力に引き込まれました。
今まで聞いた8番の演奏、録音のことなど考えもせず、没頭できました(最後の早すぎる拍手が残念!)。
演奏された皆さま、ありがとうございました!

新日本フィルに音色なぞないと言う意見が以前あったが、ほかの在京オケの話しだろう。欧州田舎オケの歴史的音色とは違うが、まさしくそこで経験を積んだマエストロが、ヨーロッパの音色を実現した。

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