2024-03

2023・3・27(月)東京・春・音楽祭 シューベルトの室内楽

       東京文化会館小ホール  7時

 シューベルトの室内楽を弦楽合奏編曲版で演奏する一夜。
 曲は、「弦楽四重奏曲《死と乙女》」と、「弦楽五重奏曲ハ長調」。加藤知子(ヴァイオリン)をリーダーとし、小林美恵、佐分利恭子、松野弘明、城所素雅、篠崎友美、木越洋、石川滋らの他、若手たちをも加えた錚々たる顔ぶれのアンサンブルにより演奏された。

 「死と乙女」の冒頭から、エネルギッシュで激しい、鉄桶の如く引き締まった硬い音色の攻撃的な音楽が疾走しはじめる。こういう演奏は昔、桐朋系の気鋭の若手たちがよく聴かせたスタイルだなと思ったが━━私はこのようなガリガリした演奏はちょっと苦手なのだが、演奏者たちがこれを「死と乙女」というアジタートの性格が強い作品から得たイメージとして表現しているのであれば、それはそれで仕方がない。

 第2部でのシューベルト晩年の「五重奏曲」では、その本来の曲想に従い、落ち着いた表現の演奏に変わった。ひとつのコンサートのプログラムが2つの大曲で構成されている場合には、両者を対照的な表現で構築して聴かせるのはよくある手法であり、その意味では今日のプログラム構成も演奏スタイルもその流儀に従っていたと考えてよいだろう。

 それにしてもこの「弦楽五重奏曲ハ長調」の第2楽章(アダージョ)の主部は、シューベルトがもはやどこか遠い別の世界に足を踏み入れてしまっているかのようで、美しくも不気味だ。それはあの「ザ・グレイト」の第2楽章中間部と共通するところもある。この弦楽合奏版では、その神秘的な部分は、楽器編成を減らしてほとんどオリジナルの弦楽五重奏の編成に近い形で演奏されているが、賢明な手法である。アンコールでは、第3楽章の一部が演奏された。

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