2024-03

2023・4・5(水)東京・春・音楽祭 ブリン・ターフェルOpera Night

        東京文化会館大ホール  7時

 バリトンのブリン・ターフェルが、シリアスなワーグナー、ヴェルディ、ボイトの世界から、クルト・ヴァイルを経てバーンスタイン、リチャード・ロジャースなどミュージカルに至るレパートリーを歌い、エンターテイナーとしての面をも見事に発揮した。
 沼尻竜典指揮の東京交響楽団が、これも見事なサポート。

 選曲もなかなか気が利いている。ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲で始まり(別公演の向こうを張ったというわけか?)、ターフェルがザックスの「ニワトコの香りが」を歌う。彼はそのまま続けて「タンホイザー」の「夕星の歌」を歌って引き上げ、オーケストラの「ローエングリン」第3幕前奏曲の後に再び登場して「ヴァルキューレ」からの「ヴォータンの告別と魔の炎の音楽」を歌う。

 そこまでが第1部だが、ヴォータンでは些か怒鳴り過ぎという傾向が見られたものの、流石得意のワーグナーものというわけで、ヘルデン・バリトンとしての威力を遺憾なく発揮したのだった。また、沼尻と東京響が「ヴァルキューレ」で聴かせた豊麗な演奏は出色のもので、沼尻はびわ湖ホールでの京響相手の快演という実績があるので当然だろうが、東京響が新国立劇場のピットでやるのとは比較にならぬほどスケールの大きな演奏を聴かせたのには驚嘆したり、このオケならこれがふつうのはずだ、と思ったり。

 第2部はヴェルディの「マクベス」序曲で開始されたが、ここからターフェルの歌う「オテロ」の「ヤーゴの信条」、クルト・ヴァイルの「三文オペラ」からの「モリタート」、ボイトの「メフィスト―フェレ」からの「おれは悪魔の精」に続けるという「悪役路線」を展開させたのは、なかなか巧い選曲配列である。
 ターフェルは舞台上で凄んで見せたり、「メフィスト―フェレ」で凄まじい口笛を鳴らしたりと、「悪役に秀でた」演技も折り込んで聴衆を沸かせた。ただ、「モリタート」で、変幻自在の表情の歌に、何となくピアノもオケもついて行けぬように聞こえたのはこちらの気のせいか? 

 その悪役路線のあとは一転してバーンスタインの「キャンディード」序曲によりミュージカル路線に入り、リチャード・ロジャースの「南太平洋」、フレデリック・ロウの「キャメロット」、ジェリー・ボックの「屋根の上のヴァイオリン弾き」からのおなじみのナンバーが歌われた。すこぶる楽しく、いい雰囲気であった。ブリン・ターフェル、大変な役者ではある。

 アンコールでも賑やかな歌2曲が披露された。曲名を私は知らなかったが、音楽祭のサイトに発表されたものによると、グウィン・ウィリアムズの「私の小さなウェールズの家」と、マロットの「ゴルフの歌」である由。
 そういえば、ターフェルは英国のウェールズ出身だった。ウェールズ人というのは、U.Kの中で最も人懐っこい気質だとかいう話だ。知らない人同士が道で逢った時、ウェールズ人はすぐにお喋りを始める、イングランド人は知らん顔をして通り過ぎる、アイルランド人はすぐに喧嘩を始める、スコットランド人は・・・・とかいう話を聞いたっけ。

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