2024-04

2023・4・7(金)飯守泰次郎指揮東京シティ・フィル ブルックナー8番

       サントリーホール  7時

 これは東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の特別演奏会。
 桂冠名誉指揮者・飯守泰次郎の指揮で、ブルックナーの「交響曲第8番」(ノーヴァク版)。コンサートマスターは戸澤哲夫。

 凄愴な気魄に満ちた演奏だ。最近の飯守泰次郎の指揮は、何か尋常ならざる鬼気のようなものを漂わせているが、今回は長年のパートナーたる気心知れた東京シティ・フィルと組んで、魔性的なエネルギーに富んだ「8番」の演奏を創り出した。
 瞑想的な緩徐楽章での深みのある情感はいうまでもないが、それをも含めて、特に第2楽章と第4楽章においては、何かに憑かれたような、心の奥底に沸き上がる怒りにも似た感情を音楽にたたきつけるといったような凄みが感じられた。

 テンポもかなり速い。おそらく正味80分を切っていたのではないかと思われる。ただ、それだけ速いテンポを採りながらも、演奏が決して素っ気ないものにならず、音楽も形を崩さず、オーケストラも均衡を失わず、という状態になっていたのが、見事だ。
 これは、飯守を尊敬してやまぬというシティ・フィルだからこそ為し得た快演であろう。実際、今日のシティ・フィルの演奏は、常ならぬ激しい燃焼を示していたのである。

 今月24日には「第4番《ロマンティック》」がある。

コメント

お疲れ様です。
もう20年以上前になるか、俵孝太郎氏(ご存命)が、N響の放送時間の少なさにクレームをつけた際、「コンサートに行かれたら」と言われ、「コンサート?そんなもの行ってられるか」と言い放ったのは良く覚えている。私もその時の氏の気持ちが分かる年齢になってしまった。私も飯守ブル8は行きたかったが、コンサートが連続してしまいまともな日常生活が送れないおそれがあったので、ブル4だけにした。東条先生はお仕事だし、事情は違うが、いつかその辺の処世を語っていただきたいもの。

恐るべテンポ

お気に入りの2階LA4列10番以内の席でした。自分にとってはコロナ後初の8番。冒頭から、音色や楽器の重ね方など、ブルックナー・トーンを堪能。細部は色々と違いますが、ワントや朝比奈と通じる「これぞブルックナー」という音響と楽曲構築に、懐かしさで胸がいっぱいになりました。飯守さんは恐ろしいまでのテンポ感で全曲を駆け抜けました。ネットで拾った情報ですが、I. 14'44"、II. 14'58"、III. 25'48"、IV. 19'59"、計 75'29"、しかもⅡ〜Ⅳはほぼアタッカ。こんなに早いテンポでは、表現が枯れた(薄口になった)という感想と、イヤイヤ恐るべき凄絶さという感想と、両方が飛び交っています。自分はいずれの感想もよくわかります。ただ、あまりにタメのない表現に、Ⅰ〜Ⅲは圧倒されっぱなしでしたが、フィナーレはやや単調さを感じてしまったのも事実です。その局地がコーダ最後の三音、リテヌートの指示をあまり強調せず切って捨てたような表現、そういうやり方も認めつつ、自分はいかにもあっけない幕切れに、著しい物足りなさを感じました。でも根っからのーブルックナー・ファンの集まった客席は、残響がほぼ消えるまでの静寂で、その後の大歓呼は、客席もまた重要なファクターであることを実感しました。さて、特筆大書すべきはオケの献身です。特にホルンとワーグナーチューバ。どんなオケでも、もう少しライブでは傷がありますが、シティフィル金管陣、もちろん完全無欠ではありませんが、よくぞここまで頑張ったものと拍手喝采。ホルンがずっこけない演奏は安心度がぐんと上がります。なおLAでの金管は、ちょうど良いうるささでしたが、正面の座席ではやや強すぎと感じた向きもありそうです。木管と弦楽器とハープとパウケンも十分な演奏でした。個人的にとても残念だったのは、薄っぺらいベッケンです。もう少し肉厚の響きが欲しかった。そして、譜面では1音目と2音目は音程を書き分けているので、気持ちだけでも叩き分けて欲しかったです(そうしている演奏者も少なくありません)。さて蛇足ながら、あの早いテンポで思い出されたのは、2000年9月に始まった、朝比奈隆・新日本フィルのブラームス・チクルスです。特に、第一交響曲の恐るべき前身感は、一体どうなってしまったのかと不思議に思ったものです。あとで遅いテンポでは体力がもたなかったらしいと伺い、飯守さんの体調を不安に思った次第です。24日のロマンチックは行けないのが残念です。飯守さんのブルックナー、5番と6番と9番が揃えばほぼ全集、特に5番は聴きたいところですが・・・

早いテンポ

テンポが早いというのはあの場合、音型だけをシビアに取り出してその構築から語らせる部分を大にしたからという事の結果でしかない。だからあの吹っ切れた様なフィニッシュも当然なんであって、あれに大拍手を贈ったファンは成熟してるなと思いましたよ。朝比奈さんと比べるのは無茶です。今回のブルックナーはどんなに鳴っても全く響きが潰れてない。日本は野球もそうですけど、指揮者も含めた各人の問題意識が進歩したんですよ。そこが最大の勝利です。

御冥福を祈ります

訃報に接して、やはりと言う思いを禁じえません。不謹慎ですが、聴きに行っておいて良かったと感じました。どの指揮者も冥界に近づくと、音楽が変わります。ベーム 、カラヤン 、バーンスタイン 、チェリビダッケ、ヨッフム、ワント、アバド 、サヴァリッシュ、バレンボイム 、ハイティンク 、朝比奈隆、山田一雄、渡邉暁雄、そして飯守泰次郎さん。上手く言えませんが、音楽が幽体離脱します。明日の上岡さんでは、また別のブルックナー を楽しめそうです。御冥福をお祈りします。

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