2024-02

2023・4・15(土)4オケの4大シンフォニー(「大阪4オケ」)

       フェスティバルホール  2時

 大阪のメジャー・オケ4団体が一堂に会して演奏する所謂「大阪4オケ」のシリーズ、大阪国際フェスティバルの主催で今年も開催。もう9回目になる由。

 今年は生誕190年に当たるブラームスの交響曲を4つのオケが分担して演奏するという企画だ。確かこの「4オケ」第1回の時に、井上道義(当時大阪フィルの首席指揮者)が「ブラームスの4つのシンフォニーをやるのはどうだ」と提案したのを、飯森範親が「そんなの絶対嫌だ」と反対した━━という話を、飯森自身がそのステージ上で暴露したのを記憶しているが、どうやら時代も変わったと見える。

 今回は、最初に山下一史指揮大阪交響楽団が「3番」を、飯森範親指揮日本センチュリー交響楽団が「4番」を、休憩後に飯守泰次郎指揮関西フィルハーモニー管弦楽団が「2番」を、尾高忠明指揮大阪フィルハーモ二―交響楽団が「1番」を演奏するというプログラムだ。4時間にわたる演奏会であった。

 ブラームスの交響曲各々の性格については、私と雖もそれなりに理解しているつもりだけれど、こうしてナマで並べて聴いてみると、つくづく「3番」というのは演奏するのは難しい曲で、それに当たった指揮者とオケはやっぱり損な役回りだな、ということを実感してしまう。その逆に、最も得をするのはやっぱり大見得を切ることのできる「1番」に当たった指揮者とオケだな、ということも実感してしまうのである。

 いや、そんなことを言ったら、誤解を招くだろう。今回、それぞれの分担がどういう経緯で決まったのかは知らないし、今日の指揮者とオケの各々の力量がそういう特性を生み出していたなどという意味では、決してない。また、曲の所為でそれぞれの演奏がそう感じられたということでも、決してない。今日の4オケのブラームスは、流石にみんな腕に縒りをかけた演奏をし、それぞれの最良のものを出していたことは間違いないのである。
 どう感じられたかは、聴き手それぞれによるだろうが、今日の場合、私の受け取り方と、客席のみんなの反応(拍手、ブラボーの大きさなど)が、全くと言っていいほど一致していたのが面白かった。

 山下一史と大響の演奏は、極めて真面目なスタイルだった。「1番」で構えすぎ、「2番」で解放感に浸り過ぎたブラームスが「ここから本当のおれなんだ」と言わんばかりに作曲した「3番」という交響曲を、見事几帳面に演奏すると、やっぱりこうなるんだな、というような演奏だったのである。きちんとした演奏だったが、これはすこぶる「難しい」ものだ。

 替わって登場した飯森範親とセンチュリー響は、「4番」の第1楽章コーダで猛烈な煽りをかけたり、後半2楽章でエネルギーを爆発させたりして、ブラームス晩年の枯れたこの「第4交響曲」から、若き日を回想するような活力を引き出して見せた。この勢いのいい演奏に、客席からは初めてブラボーの声も聞こえた。

 休憩後に登場した飯守泰次郎と関西フィルは、驚異的なほどヒューマンで温かい「2番」を聴かせてくれた。円熟の飯守が最小限の身振りでオーケストラを制御する気魄の凄まじさは言うまでもないが、関西フィルがこれほどふくよかな音で、豊かな情感にあふれた演奏をしたのを聴いたのは初めてである。この空間性豊かなフェスティバルホールだからこそ、その音も生きたのではないか。
 演奏が終ると、それまでになかったような熱狂的な拍手と、少なからぬ数のブラボーが爆発した。

 そして、いつものように弦16型大編成の威力を誇示しつつ大トリに登場した尾高忠明と大フィルは、絶好調━━この2、3年の演奏は私にはそう感じられる━━の底力を全開し、揺るぎない構築と瑞々しい和声感と豊かな陰影を備えた、この上なく濃密な「1番」を聴かせてくれた。
 隅から隅まで納得づくのブラームス━━という演奏で、まさに尾高の円熟と、大阪フィルの水準の高さが発揮されたものと言えようか。長いコンサートで疲労しかけた聴衆を再び覚醒させ、快い満足感を与えて席を立ってもらう、という理想的な「結びの一番」だったと言ってもいいだろう。ここで客席から沸き起こった拍手とブラボーの音量の物凄さは、まさに今日随一のものであった。

 かくして、朝の新幹線に乗って大阪まで聴きに来ながら、聴く前には体調不良で意気の上がらない私だったが、コンサートが終る頃にはどうやら元気を回復していたという次第で‥‥。
 とはいえ、大事を取って、16日に予定していた「芦屋国際音楽祭」の取材は、残念だったが止めることにし、主催者へ詫びの電話を入れる。実は昨日も、予定していた京響の演奏会取材をキャンセルさせてもらったところだった。沖澤のどかの京響常任指揮者就任初定期を聴けなかったのは痛恨事だが、9月24日に就任披露東京公演があるそうなので、それを楽しみに待ちたい。

コメント

東条先生、くれぐれもお大事になさって下さい。
大分前のことですが、飯守康次郎と京響のブラームスの4番を聴きました。実に滋味あふれる見事な演奏でした。特に第4楽章はテンポと強弱の配分が絶妙で、滅多に聴けない名演でした。
沖澤まどかさんがどんなブラームスを聴かせたか、私も体調不良で行けなかったのが残念です。

4オケの熱演!

毎年のことながらの、熱演に感動しました。今年は、コロナ明けでの演奏に聴衆の熱気も凄い。4オケすべてに、ブラヴォー!とりわけ、私は大阪フィルさんの底力が、印象的でした。拝聴できて良かったです!東条先生、体調不良とのこと。お大事になさってくださいね!

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