2024-02

2023・5・10(水)ミハイル・プレトニョフ指揮東京フィル

       サントリーホール  7時

 東京フィルハーモニー交響楽団の特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフが、生誕150年・没後80年のラフマニノフの作品を指揮した。幻想曲「岩」、交響詩「死の島」、「交響的舞曲」というプログラムだ。コンサートマスターは依田真宣。

 「岩」は、プログラム冊子の解説で一柳冨美子さんが題名の「誤訳」について指摘しているが、たしかにこの幻想曲の素材となったレールモントフの詩の内容に従えば、「断崖」とでも呼ぶ方がより幻想的なイメージも湧くことだろう(ヒッチコック映画にもそういう題名があったし・・・・)。「岩」では、味も素っ気もロマンも無い。

 とにかく、プログラムの第1部はこの「岩」と「死の島」という重苦しい曲が二つ並んでいたわけだが、「岩」の開始部での静かな色彩感はさすがプレトニョフと思えるもので、曲全体にも叙情的な美しさが拡がっていた。東京フィルもいい音を出す。昨夜はドイツのオーケストラを絶賛したばかりだが、日本のオーケストラだって立派なものだぜ、と言いたい。

 だがしかし、そのあとの「死の島」は、冒頭こそあのベックリンの不気味な画を目の当たりにするような重々しい不気味さで始まったけれど、最強奏では響きが混濁して、力み返ったような騒々しさが感じられ、些かいただけない。多分、練習不足だったのでは? 
 この日は初日だったから、12日と14日の公演では、あるいはもっと神秘的な趣きが生まれるかもしれない━━本当は初日から完全な演奏を聴かせてもらいたいのだけれど、日本ではオーケストラにしてもオペラにしても、どうもそうは行かないようだ。

 「交響的舞曲」は、見事な演奏だった。ラフマニノフ晩年の精妙な管弦楽法が浮き彫りにされ、色彩感も推進性も充分な演奏だったと思える。第1楽章で爆発した主題が急激にディミニュエンドして行く際に、木管群ももう少しそれに合わせて弱音に達してくれればいいのだけれど、などと感じたことは事実だが、「怒りの日」のモティーフが解決をみるかのような第3楽章最後の昂揚感は、極めて聴き応えがあるものだった。

 今年のプレトニョフと東京フィルは、先頃の「マンフレッド交響曲」といい、今日の演奏と言い、快調である。8時45分頃終演。

コメント

岩?

トウガン.ソヒエフが3年ぶりに振ったN響でもこの曲が演奏されていて、もとになっつたチェーホフの「旅中」を読みました。雪が降り旅で出あった娘を見送る男に雪が降り積もりそれが岩のようであったというチェーホフらしい比喩である。私はロシアの大きい岩。ないしは断崖をイメージしていたがはずれ。チェホーフ的には岩でいいとおもわれる。ラフマニノフはチェーホフに楽譜を献呈したとのこと。

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