2024-03

2023・5・13(土)沖澤のどか指揮読売日本交響楽団

       東京芸術劇場コンサートホール  2時

 エルガーの「ヴァイオリン協奏曲」が、ソリストに三浦文彰を招いて演奏されたあと、第2部ではワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」前奏曲とR・シュトラウスの「死と変容」が切れ目なしに演奏されるという珍しいプログラム。コンサートマスターは林悠介。

 先月の沖澤のどかの京響常任指揮者就任定期を聞き逃していたこともあって、今日の演奏会は私が心待ちにしていたものだった。しかも今回はドイツ・後期ロマン派の作品が2曲含まれているので、彼女がどのようなアプローチを聴かせてくれるか、ますます興味津々だったわけである。

 演奏の出来栄えは予想通り。端然として清澄、乱れず崩れず、完璧な均衡を備えた構築美、といった指揮で、あの強豪オケの読響をよくぞここまで制御したものだと舌を巻いた。
 いずれも極度に整然として、官能的な狂乱や興奮や陶酔からは距離を置いたような解釈のため、「トリスタン」は一種の純愛物語のようなイメージになり、また「死と変容」は毅然たる涅槃の境地とでもいった雰囲気の音楽になっているので、それが議論の対象になるかもしれない。しかし、その音楽に冷たさといったものが全くなく、驚くほど瑞々しい美しさにあふれているのが、彼女の良さであろう。

 あたかもこれは、メンデルスゾーンの眼を通して視たような後期ロマン派の世界━━とでもいうか。だがいずれにせよ、このような演奏も多分彼女にとっての完成品ではなかろうと思うし、これからどう変って行くかに注目したいところだ。

 エルガーの協奏曲での彼女の指揮は、同じく端整だが、そのオーケストラの音色の明晰さ、爽やかさ、明るさに惹き付けられた。三浦文彰も彼女の音楽を意識したのか、それともエルガーに対するアプローチを工夫したのか、他の機会に聴く彼とはちょっとイメージが違っていて、それがまた面白かった。

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