2024-03

2023・5・15(月)沼尻竜典指揮新日本フィルハーモニー交響楽団

       サントリーホール  7時

 シベリウスの「ヴァイオリン協奏曲」とメンデルスゾーンの「交響曲第2番《讃歌》」を組み合わせたプログラム。
 協奏曲のソリストはユーハン・ダーレネ。「賛歌」での声楽陣は砂川涼子、山際きみ佳、清水徹太郎、栗友会合唱団、新国立劇場合唱団。コンサートマスターは崔文洙。

 協奏曲でソロを弾いたダーレネは、スウェーデン生れの未だ23歳という若者だが、実に不思議な演奏をする人だ。ポルタメントを多用して、濃厚な演奏を繰り広げる。カデンツァ風にソロが続く個所でも、独りで凝ったソロに没頭してしまう、といった感だ。これほど粘っこい、持って回ったシベリウスは聴いたことがない。その解釈のユニークさは今どき興味深いとは思うものの、些か辟易させられた。

 メンデルスゾーンの「第2交響曲」は、あの冒頭で3本のトロンボーンがユニゾンで吹く労働歌か校歌みたいな主題が私は昔から苦手で━━「シンフォニア」ではそれが何度も繰り返された上に、全曲最後にもご丁寧に朗々と再登場するのだから━━わざわざ聴きに行くには少々腰が引けていたというのが正直なところなのである。しかし、今日の沼尻竜典の指揮した演奏を聴いて、私もやっとこの作品全体の魅力に納得させられた、と白状しよう。

 沼尻の指揮の「持って行き方」の巧さは舌を巻くほどで、長い全曲を少しも緊張感を失わせずに優しく美しく歌わせつつ、いざ全曲の大詰めに至るや、最後の頂点へ向かってぐいぐいと力感を増し、昂揚させて行くあたりの音楽構築の凄まじさは見事であった。これはやはり、彼がこの十数年間、びわ湖ホールの芸術監督やリューベック歌劇場の音楽総監督としてオペラ指揮の経験を積んだたまものであろう。こういう演奏に接することができたということだけでも、今夜のコンサートに来た甲斐があったというものである。

 新日本フィルの演奏もふくよかで温かく、久しぶりに聴くこのオーケストラの真価と言うべきものであった。

コメント

讃歌

佐渡新体制の新日本フィルは最近好調で、この日も見事な演奏を聴かせてくれました。今年は、この新日本フィルに加え、東響、紀尾井ホール室内管も「讃歌」を定期で取り上げます。昨年以来、首都圏オケ(およびボストン響)が「アルプス交響曲」を相次いで取り上げる、アルペン祭のような状況になっていますが(笑)、「讃歌」という滅多に演奏されることのない曲がこんなに重なるのは珍しいことですね。

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