2024-02

2023・5・16(火)大西宇宙バリトン・リサイタル

      東京オペラシティ リサイタルホール  7時

 オペラシティの「B→C」シリーズの一環。

 オペラでは既に大活躍を繰り広げているバリトン、大西宇宙━━「宇宙」は「たかおき」とお読みする由だが、われわれの業界では専らその漢字の一般的な読みで通っている━━が、前半にバロック系の、後半に現代の作品という組み合わせの意欲的なプログラムでリサイタルを開いた。

 前半の曲目は、テレマンの「希望こそわが人生」、バッハの「カンタータ第203番《裏切り者なる愛よ》」および「クリスマス・オラトリオ」からの「大いなる主、強き王」、ヘンデルの「アレクサンダーの饗宴」からの「復讐よ復讐よとティモテウスは叫びぬ」。
 後半の曲目は、クリストファー・セローンの「ジェスアルドのラメント」、信長貴富の「Fragments~特攻隊戦死者の手記による」、ジミー・ロペス・ベリッドの「アマウータ」、マーティン・リーガンの「松尾芭蕉による季節の四句」(大西宇宙委嘱、世界初演)というものだった。

 協演は、ピアノが矢崎貴子、バロック・トランペットが斎藤秀範(「クリスマス・オラトリオ」と「アレクサンダーの饗宴」)、尺八がマーティン・リーガン自身。なお、アンコールでの小林秀雄の「落葉松」は全員での演奏である。

 素晴らしいバリトンが出現したことを喜びたい。オペラではもう何度も聴いている人だが、バッハやヘンデルを歌う彼を聴いたのは今回が初めてである。若々しく伸びのある、力に満ちた声が頼もしい。キャリアを重ねて深みが出れば、わが国を代表するバリトンになってくれるだろう。

 敢えて少々注文をつければ、日本語の歌唱の場合、歌詞を明確に発音するようにしていただきたいということだ。今日の歌唱でも、日本の旧来のオペラ歌手にありがちな、言葉を「丸めた」(?)ような発音で歌うという旧来の手法を引き継いでいるような感じがしたのが気になった次第である。

 それからもうひとつ、ピアノに関してだが、歌曲を弾く場合には、もっと歌詞の内容に応じてニュアンスを自在に変え、歌手との協演を第一に考えて欲しいところである。今日のピアノは、言っては何だが、音量の点でも、表情の点でも、歌に合わせるという姿勢が聴き取れなかった。そのかみのジェラルド・ムーアの演奏法を参考になさっては如何かと思う。

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