2024-03

2023・5・21(日)ピエタリ・インキネン指揮日本フィルハーモニー交響楽団

       サントリーホール  2時

 「第400回名曲コンサート」というキリのいい数字の公演だが、インキネンが首席指揮者として日本フィルを指揮する演奏会の、これが文字通り最後のものとなった。

 ベート―ヴェンツィクルス第6回(最終回)としての「交響曲第9番ニ短調」を第2部に、インキネン自身が「最後の演奏会にはこれ」と決めていたというシベリウスの交響詩「タピオラ」を第1部に置いた印象的なプログラミング。コンサートマスターは田野倉雅秋。
 「第9」での協演は森谷真理、池田香織、宮里直樹、大西宇宙、東京音楽大学の合唱団。

 「タピオラ」の演奏は壮大で厳しく、インキネンが日本で聴かせたシベリウスの作品群の中でも、おそらく最も剛直なものではなかったかという気がする。インキネンの本領発揮であろう。

 「第9」は、実に清澄で美しく、爽やかな演奏だった。健康な若者たちの讃歌とでも言ったらいいだろうか。要所での力に満ちた昂揚感も見事だ。何よりオーケストラの音色が明晰で、内声部の交錯も些かの濁りもなく描き出される。「タピオラ」での陰翳に富んだ響きから解放的な明るさに満ちた響きへ一転したインキネンの設計も巧妙だったが、それを鮮やかに表出した日本フィルにも感嘆させられる。近年のこのオーケストラの表現力の幅の広さを示す証であろう。

コメント

初インキネン

ここ数年、日本フィルにはよく行くようになりましたが、タイミングが合わずインキネンは初体験、お気に入りの2階RAブロックで聴きました。感想は東条さんとほぼ同じです。シベリウスは、さまざまな景色が見えるような演奏。ことさらに演出をしているわけではありませんが、シベリウスの音符を丁寧になぞれば、景色が浮かび上がるという、理想的な演奏。寒々とした響きから暖かい音色まで出し分けたオケにもブラヴォー。ただ、指揮棒が下りてないのに始まったフライング拍手はNGです。ベートーヴェンは、曲によってスタイルを変えるというインキネンのやり方を実感。一楽章の冒頭は想像外の遅いテンポでびっくりしましたが、終曲に向かうにつれ若返りしていきました。併せて良かったのは東京音大のコーラスです。プロのコーラスとは違った若々しい、でも音程・アンサンブル・発音隅々までトレーニングされ、久しぶりにこの曲で良いコーラスと出会えました。普段から仲のよさそうなソリストのアンサンブルも見事でした。オケにはフルート、ファゴット、パウケン、ホルンなどエキストラが目立ちましたが、特にフルート(都響)とホルン(名フィル)は見事な演奏でオケに華を添えていました。パウケンは第九冒頭こそアンサンブルが?でしたが、しり上がりに溶け込んでいきました。普段の奏者よりオケに馴染む音色だと思います。それにしても、第九のフィナーレで、悪い意味での「お祭り騒ぎ」「イケイケドンドン」にならない演奏は、とても久しぶりでした。曲想が盛り上がるほどに指揮が小さくなる(一部例外はありますが)インキネンの統制ぶりは天晴でした。まだ40代。ここからの円熟を楽しみにしています。毎度のことながら、平井理事長がロビーで丁寧に対応しているのも好感度高いです。高齢化した固定の聴衆をどう若返らせるか、このオケもこの数年が正念場でしょう。カーチュン治世に期待です。

良いコンサート

タピオラ、フィンランドの厳しい風土と芯の強さを感じる確かにインキネンがJPO最後公演に選んだ、同国出身の彼ならではの演奏でした。
第九は久し振りでしたが、第四楽章のバリトンソロが力強く歌い始めて暫くして、何故かじんわりと涙が出てきました。何百回もコンサートに出かけていますが、エリシュカYNSOの新世界の第二楽章で自然と落涙して以来二度目の経験です。
若い学生たちの歌声に、明るい希望、歓びのような思いも湧き上がってきました。
プロの合唱もいいが、若い人たちの真剣な歌声に、大変な世界を残している年寄り世代のこちらにも、将来に期待できるように思えました。
カーテンコールの最後で楽員から花束を手に、丁寧に会場に礼をするインキネンやり終えた満足に溢れていました。ブラボー!

外連味のないインキネン、またJPOの定期にたまには登壇を望みます。




再見!

コロナ期込み15年の在任、思えばワグナー、ブル、シベリウス外実に多くの名演を楽しむ事が出来た。そして最後のベト第9も硬質の実に見事な名演であった。ブル7とかは演奏者も大変!と思わせる遅さだったが、ベトは総じて中庸なテンポ、そして今回は可成りのアップテンポ!スケルツォとか痛快なものだった。以前の日フィルはやや薄い音が気になった事もあったが、最近は一皮も二皮も剝けたと言うか、毎回安定した良い演奏を繰り広げ、正にアッバレ!これも決して楽とは言えない環境下でも、国内指揮者に加えてラザレフやインキネンの下、時間をかけた着実な歩みの成果と思われ慶賀の限りと言えよう。インキネンには定例的に来演してその進化の程を示してもらいたいものである。終演後の感動的な熱い拍手はまさに、また会える事を願う聴衆の想いであったろう。
有難う!そして再見!

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