2024-03

2023・6・1(木)新国立劇場 R・シュトラウス:「サロメ」

       新国立劇場オペラパレス  7時

 新国立劇場の定番、アウグスト・エヴァーディング演出による「サロメ」。
 2000年4月に若杉弘指揮でプレミエされて以来、2002年、2004年、2008年、2011年、2016年に上演されて来たプロダクションで、今回が7年ぶり、7度目の上演となる。

 演奏は、コンスタンティン・トリンクス指揮の東京フィルハーモニー交響楽団。主演歌手陣は、アレクサンドリーナ・ベンダチャンスカ(サロメ)、トマス・トマソン(ヨカナーン)、イアン・ストーレイ(ヘロデ王)、ジェニファー・ラーモア(王妃ヘロディアス)、鈴木准(隊長ナラボート)、加納悦子(小姓)、与儀巧・青地英幸・加茂下稔・糸賀修平・畠山茂(以上ユダヤ人)、他。

 過去の上演の一部についての日記は、当ブログでも☞2008年2月6日、☞2011年10月9日、☞2016年3月9日の項にそれぞれ書き込んであるので詳細は避ける。
 だが、舞台装置(ヨルク・ツィンマーマン)は不変でも、演技を含めた人物の動きはかなり様変わりしている印象だ。端折って言えば、人物の動きに緊迫性が失われ、演技にも微細な表情が足りなくなっているということ。鮮度が薄くなるのは再演の宿命でもあるが、今回の舞台はそれだけでは片づけられぬものがあるだろう。来日歌手陣も、敢えて言えば、やや小粒だったという印象を拭えない。

 称賛されるべきは、むしろ指揮者とオーケストラの方である。トリンクスの指揮は相変わらず細身ではあるが、きりりと引き締まって、極めて鋭角的だ。後期ロマン派的な官能性には欠けるが、表現主義的な鋭さを持つR・シュトラウス像といったものを鋭く浮き出させたアプローチと言えよう。これはこれで、極めて納得が行く。
 彼は、新国立劇場ではこれまでにも「さまよえるオランダ人」「ドン・ジョヴァンニ」「タンホイザー」などを指揮しているが、それらのいずれよりも今回は明晰かつ壮烈な指揮を聴かせていたと思う。

 東京フィルも、この劇場のピットで、これだけ金管群が思い切って強奏し、トランペットが絶叫し、全管弦楽が咆哮し、しかも均整を保った演奏をした例は稀ではないかと思われる(もしかしたら、開館以来初めてと言っていいのでは?)。今回は管弦楽の縮小編成版楽譜を使用したとかいう話だが、トリンクスと東京フィルの好演のおかげで、全く違和感なく音楽を堪能できた。

コメント

公演評ありがとうございます。
私は最近東京から北の国のちょっと田舎に引っ越してしまったので、4月以降大好きなリヒャルトさんたちに飢えていましたが、サロメ札幌公演目前となりわくわくしています。東京で歌い込んできた歌手たちと、札響の演奏を楽しみたいと思います。
先日は、北海道新聞でのバーメルトさんと札響に関する記事も拝見し、これから時々は札幌に出かけてみようと計画中です。

公演直前、いきなりの「オーケストラ縮小版使用」のアナウンスに驚きました。日本唯一の国立のオペラハウスがコロナのせいにして予算倹約? かなりがっかりです。
一方で文化庁はコロナ予算消化のためか、今年度欧州からやってくる「ウィンナワルツオーケストラ」「チェコフィル」などにも補助金を出すことが先日発表されました。政策としてアンバランスです。

こういち様へ
今回縮小版を使っているのは予算倹約のためではなく、上演計画や各種契約時点ではコロナ禍だったため、オーケストラピット内に入れる人数を抑える目的です。(新国の中の方に直接聞きました)
計画当時には2023年5月にどのような状況になっているのかなぞ当然分かりようがなかったわけですし、一度契約したものはそう簡単に変更できるものでもありません。
それでも不確定な未来に向けて様々な手法を探ってチャレンジした劇場側をむしろ褒めるべきかと思います。批判するのは筋違いかと。

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