2024-03

2023・6・6(火)牛田智大 ラフマニノフを弾く

       サントリーホール  7時

 4日にコロナワクチン第6番。これまでは全てファイザーだったが、世田谷区の予約サイトではもうモデルナしかなく、「交互接種の方が効き目があるという説もあるよ」という医師の話を信じて接種。翌日午後に発熱(それも初めて37.6度まで)があったが、たった2時間で平熱に戻った。ただし注射直後から出た肩の激痛は一向に・・・・。という状態の中で、今日はロイヤル・オペラの「フィガロの結婚」(東宝系)の試写会は諦めたものの、夜の演奏会だけは何とか聴きに行く。

 完売、満席でありながら、これほど男子トイレがガラガラの演奏会も珍しい。
 ただし今日の「牛田智大 ラフマニノフを弾く」は、リサイタルではなく、彼が飯森範親の指揮する東京フィルハーモニー交響楽団をバックにコンチェルトを弾くという演奏会であった。

 最初にオケがボロディンの「イーゴリ公」の「だったん人(ポロヴェッツ人)の踊り」をしっかりと演奏し、幾分儀礼的な雰囲気の拍手を送られたあと、今度は牛田智大が熱烈な拍手を浴びながら登場。ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」と「ピアノ協奏曲第3番」を弾き、最後にソロ・アンコール(同「前奏曲作品23」から「第4番」)を弾いて、いずれも多くの女性たちのスタンディング・オヴェーションを交えた猛烈な拍手に包まれる━━というコンサート。

 牛田智大が弾くラフマニノフ。予想通り、彼の手がける他の作曲家の作品群と同じく、まろやかで、ふくよかで、あたたかい。ラフマニノフ演奏には付き物とも言える煌びやかで猛烈でヴィルトゥオーゾ的な演奏スタイルからは距離を置いた、独特の感性によるアプローチだ。そこにはぎらぎらしたエキサイティングな音はないけれども、柔かい口調ながら裡に情熱を秘めた、雄弁な音楽を感じることができるだろう。
 ラフマニノフの音楽をこのようなスタイルで描き出すピアニストは、私は他に思い当たらないけれども、実に興味深いものがある。

 それに、━━「パガニーニ・ラプソディ」の演奏の中で、私がはっとして魅了された個所がある。曲が第18変奏のところに来て、ピアノがあの有名な変奏主題を歌いはじめる瞬間、それまで比較的静かだった彼の口調が━━つまり演奏が、突如として表情豊かなものになり、それまで抑えていた豊かな感情を思い切り解放するように聞こえたのだが、この人の音楽の持って行き方は巧いな、と感心したものだ。

 また「第3協奏曲」の最後の頂点で、オーケストラとともに猛然と突き進み、曲を鮮やかに結んで行った個所では、彼のピアノが少しも居丈高にならず、まろやかさを保っていたのにも驚かされた。
 好みはともかくとして、このような独自の試みを自信に満ちて繰り広げる演奏家というのは、面白い。

 そして付け加えるが、飯森範親と東京フィルのサポートが、いずれも見事だった。

 今日は、オーケストラの演奏会にはほとんど来たことがないようなピアノのファンたちも大勢来ていたのだろう。終演後、2階から階段を下りて行く際に、うしろからこんな声が聞こえた━━「今日の指揮者の人、すごくいいわねえ」。

コメント

ブーニン現象の再来か。

6/10(日)飯森/センチュリー響とパシフィックフィルハーモニア東京の合同演奏を聞きましたがソリスト角野さん人気で難しいアダムズの曲でも完売
、女性トイレが開演前から長蛇の列。アルプス交響曲も両オケの個性が相乗効果をあげていました。来年もこのコンビで同じ曲目勿論アダムズも聞きたい。

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