2024-03

2023・6・10(土)鈴木秀美指揮名フィル「ミサ・ソレムニス」

      愛知県芸術劇場 コンサートホール  4時

 名古屋フィルハーモニー交響楽団(音楽監督・川瀬賢太郎)の第513回定期公演で、鈴木秀美が客演指揮、ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」が演奏された。
 声楽ソリスト陣は中江早希(S)、布施奈緒子(Ms)、櫻田亮(T)、氷見健一郎(Bs)。合唱が岡崎混声合唱団と愛知県立岡崎高等学校コーラス部(合唱指揮・近藤惠子)。コンサートマスターは荒井英治(首席客演コンマス)。

 この演奏は、オルガンとオーケストラと声楽のための「ミサ・ソレムニス」━━とでも言うべきか。ベートーヴェンのスコアにはオルガンのパートが全曲にわたって詳細に入っているので当然かもしれないが、しかし今回ほどオルガンの存在感が大きく感じられた演奏を聴いたのは、私としては初めてである。いかにも鈴木秀美の「ミサ・ソレ」に相応しい。
 ただしそのオルガン(大木麻理)は、ホールのステージ奥に聳え立っている大オルガンを使用してではなかった。これはマエストロ鈴木の説明によれば「今回の演奏とはピッチが合わない」から、とのこと。

 ともあれ、オルガンが時としてオーケストラよりも大きく聞こえた(特に「キリエ」の部分)ことや、その他、ノン・ヴィブラート奏法の弦があまり響いて来なかったことなどには、私には些か不満だったけれども、これは私が聴いた席(2階正面2列目)の位置にも関係しているだろうから、一概にどうこう言うわけには行かない。
 ただ、たとえば「アニュス・デイ」の第170小節あたりからの音楽が急激に不安を増して行く個所での弦のトレモロなどが明確に聞こえなかったことは、この辺りでの劇的な昂揚を薄めてしまう結果となっていたので、私の好みとは違うものだったのは確かだが━━。

 いずれにせよ、鈴木秀美が名古屋フィルから引き出した音楽は、たとえば地の底から轟き、世界を揺り動かす祈りの歌などといった演奏からは対極の、むしろ透明清澄な祈りの歌だったと言ってよいのだろう(その意味では、今日のオルガンの音色は効果的だった)。
 ベートーヴェンの「ミサ・ソレ」のひとつのあり方として、このような演奏を聴くことができたのは、有難かった。

 これで合唱(80名以上の大編成)の音色に澄んだ透明さがあれば文句なかったのだが、‥‥それは高望みと言うべきだろうか。今日の合唱、よくやっていた。ソロ歌手陣も同様。

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