2024-03

2023・6・22(木)山形交響楽団「さくらんぼコンサート」

      東京オペラシティ コンサートホール  7時

 年1回、夏至の頃に行われる山響恒例の東京公演「さくらんぼコンサート」。
 例年のようにロビーには山形県の多種多様な名産品の即売コーナーを設置、抽選で山形県産さくらんぼを贈呈、終演後には出口でシベールのラスクと、でん六の「味のこだわり」を客の全員に配布するという、見事なほどの佳き地方色の発露である。
 だが山響の演奏そのものは、もはや昔の山響のそれとは違う。今や、わが国の地方オーケストラの中でも屈指の存在となっていることは疑いない事実だ。

 今回の公演では、常任指揮者の阪哲朗ではなく、この4月から同楽団のミュージック・パートナーという肩書を得た名ホルン奏者、ラデク・バボラークが指揮を受け持った。コンサートマスターは高橋和貴。
 プログラムは、チェコ出身のバボラークらしく、スメタナの「わが祖国」からの「ブラニーク」で幕を開け、次いで彼がモーツァルトの「ホルン協奏曲第3番」とドニゼッティの「ホルン協奏曲ヘ長調」を吹き振りし、最後にはドヴォルジャークの「交響曲第8番」と、アンコールには同じく「スラヴ舞曲」の「作品72の7」を演奏する、という構成だった。

 バボラークの指揮は━━言っちゃ何だけれど、イン・テンポが多く、リズムやアゴーギク(緩急)に流動性が不足しているので、残念ながら音楽が平板に陥りやすい傾向がある。「ブラニーク」のようにテンポが頻々と変わる曲や、「8番」の第1楽章序奏や第2楽章のようにテンポの遅い部分ではその欠点が露呈してしまう。
 だが「8番」第4楽章のように速いテンポで突き進む音楽の場合には、持ち前の明るい個性も幸いして、充分に聴衆を沸かせることもできるというものであろう。

 今夜の演奏の中での圧巻は、やはり2曲のホルン協奏曲で、彼の骨太で瑞々しい、朗々たるホルンの躍動は、いつまでも聴いていたいと思わせるほどの魅力にあふれたものだった。ドニゼッティのコンチェルトは、10分足らずの短い曲だったが、その後半の軽妙洒脱な曲想はいかにもこの作曲家らしく、これを聴けたのは幸いであった。

 山響のしなやかで、しっとりした音楽を聴こうと思うなら、やはり常任指揮者の阪哲朗がじっくりと時間をかけて仕上げた演奏を聴くべきだろうと思う(☞たとえば2021年2月26日の前半のプログラム)。
 また、最近首席客演指揮者となった鈴木秀美との演奏も好評のようで、こちらはこの7月の30日にミューザ川崎シンフォニーホールで、「フェスタサマーミューザKAWASAKI」一環として「ザ・グレイト」などが聴けるから、期待しているところである。

コメント

大阪の「さくらんぼコンサート」!

大阪のザ.シンフォニーホールでの同プログラムを拝聴しました。ミュージックパートナーとしての最高峰のアーティストとの饗宴は、山響さんの魅力を十分に引き出していると感じます。二つのホルン協奏曲は貴重でした。拝聴できて良かったです。山響さんは創立51年目だそうですね。トップオーケストラのうちの一角になられたと思います。楽しい演奏会でした。Bravi!!

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