2024-03

2023・6・27(火)エンリコ・オノフリ指揮ハイドン・フィルハーモニー

      浜離宮朝日ホール  7時

 ハイドンゆかりのエステルハージ城内ハイドン・ザールに本拠を置くオーケストラ、ハイドン・フィルハーモニーが来日。
 過去には創立指揮者アダム・フィッシャーと(☞2009年12月3日)、また次の音楽監督ニコラ・アルトシュテット(☞2018年6月30日)とも来日したことがあるが、今回はエンリコ・オノフリを指揮者(アーティスティック・パートナーなる肩書だそうな)との来日公演。

 ミヒャエル・ハイドンの「交響曲第39番ハ長調」とフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの「交響曲第96番ニ長調《奇蹟》」、ベートーヴェンの「交響曲第5番ハ短調《運命》」が、今日の初日公演のプログラムだった。

 とにかく、刺激的な演奏である。これほど大胆に装飾音を活用した古典派交響曲の演奏は、もしかしたらあのアーノンクールを凌ぐものかもしれない。
 とりわけ面白かったのは、やはりベートーヴェンの「5番」だ。第1楽章冒頭の「運命の動機」のフェルマータを二つともほぼ同じ長さで開始しながら、それを他の個所では異なった長さで演奏させたり、それらに伴うティンパニを頻繁にクレッシェンドさせたりするのをはじめ、全曲にわたってデュナミークを目まぐるしく変動させたり、テンポを頻々と変えたりするのはまだ序の口。

 第1楽章第387~388小節の基本モティーフの個所で、クラリネットとファゴットを省略し、ホルンのみで、しかもテンポを極度に落して吹かせたのは意外だったが、それよりも第3楽章最後のブリッジ・パッセージでの最弱音のティンパニのリズムを変拍子のアクセントで叩かせていたのには仰天した。まさにこれは、「春の祭典」並みの衝撃的効果である。
 ティンパニは他にも、第4楽章の展開部で、【D】以降の4分音符のいくつかにおいて、前打音のような装飾音を加えながら叩くといった具合で、━━全曲至る所にバロック音楽のアドリブのような装飾を加えた「強烈な」演奏であった。

 これをもしCDで聴いたらいかにも作為的な小細工に感じられるかもしれないが、ナマで聴くと、この「5番」がまさしく前衛的な作品に聞こえるのだから面白い。様式を重んじる教条主義的な考えの聴き手からは猛烈な非難を浴びるかもしれないが、古典の名曲に新しいアプローチを試みることを是とする聴き手にとっては、何とも興味深い手法と言えるだろう。

 アンコールに演奏された「奇蹟」の第3楽章のトリオでのオーボエの装飾音が、これがまた、喩えようもないほど流麗で、官能的で、絶品だった。

 このハイドン・フィルハーモニーの来日ツアーは、東京4回、刈谷1回、最後の7月4日の大阪のいずみホールまで、6回の公演がある。

コメント

大阪公演を拝聴します!

7月4日の大阪公演を拝聴する予定です。プログラムは、モーツァルトの「フルート協奏曲第2番」ソリストはウィーンフィルのワルター.アウワーさん。ハイドンの「トランペット協奏曲」ソリストは元ベルリンフィルのガボール.タルケヴィさん。ベートーヴェンの交響曲第5番。指揮者はエンリコ.オノフリさん。東条先生の感想を拝読して、待ち遠しくなりました!楽しみです!

大阪公演!!

東条先生の感想を拝読して、拝聴しました。期待以上の素晴らしい演奏でした。ガボール.タルケヴィさんのトランペットも、ワルター.アウワーさんのフルートも、それにマエストロ オノフリとハイドンフィルも、圧巻でした。ベートーヴェンの交響曲第5番は、バロック音楽のアドリブを加えたようで、さすがマエストロ オノフリ。貴重な第5番でした。拝聴できて良かったです!が、トランペット協奏曲の第1楽章の後のフライングすぎる「ブラヴォー」に加えて、右隣のご婦人の指揮ぶり、左隣の男性のいびき。なんてこった!注意出来ない自分が情けなくて。まあ、素晴らしい演奏を拝聴できた事に感謝ですね。Bravi!!

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